子ども手当→児童手当で、何がどう変わったの?

YOMIURI ONLINE
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ファイナンシャル・プランナー 畠中雅子

今年度からは、5週目を担当させていただくことになりました。
毎月1本ずつ更新していた従来とは異なり、
数か月に1度の記事アップになりますが、
引き続き、よろしくお願いいたします。

さて、リニューアル後の第1回目の記事では、
新年度から名称が変わった児童手当について、
整理してみたいと思います。
変わったのは名称と所得制限の導入

平成24年度からの新制度で、変わった点は2つあります。
まずは、冒頭に書いた通り、名称の変更。
名称については、決定までの経過で、
「子どものための手当」に変わるなどの報道もありましたが、
二転三転した後、自民党政権時代の「児童手当」に戻りました。

「子ども手当」から「児童手当」に名称は戻りましたが、
過去の児童手当と同じ制度に戻ったわけではありません。
ここがややこしいところで、名称は戻っても、
制度が元通りになったわけではないのです。
たとえば支給額については、
昨年度の子ども手当の金額を引き継いでいます。

支給額のことは、過去の記事でもご紹介していますので、
そちらもご参照ください。

昨年度までと異なるのは、
今年の6月から所得制限が導入されること。
所得制限の金額は下記の表の通りです。
児童手当の時代には、会社員と自営業者で、
所得制限額に差が設けられていましたが、
現時点で発表されている金額では、
職業による差はついていません。

なお所得制限未満のご家庭では、子ども手当の時代と、
支給額などに変更点はありません。

上記の所制限額は、「年収」ではありません。
会社員の方は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から
8万円を差し引いた金額が、この表の「所得制限額」に当たります。
8万円というのは、社会保険料相当額として、
この所得制限額の中に含めてある金額です。
(なぜ社会保険料相当額が8万円なのかは、
過去にさまざまな機関に取材していますが、
一度も明確に答えてもらったことがないため、
いまだによくわかりません)

自営業者の場合は、経費などを引いた後の金額から、
8万円を引いた金額が、児童手当の所得に当たります。

ちなみに、「扶養人数0人」というのは、
児童手当の所得は前年分で判断するため。
現在、0歳のお子さんをお持ちのご家庭で、
妻が前年に働いていた場合には、
扶養人数が「0人」とカウントされます。

自民党政権時代の児童手当は、所得制限以上になると、
減額ではなく、児童手当の支給が停止していました。
新制度の児童手当では、支給停止ではなく、
減額に留められています。
その理由は後で詳しくご紹介しますが、
以前の児童手当の時代と異なり、
今の児童手当をもらえるご家庭は
増税になっているのがその理由です。

所得制限以上の家庭は、支給減プラス増税で実質的には大幅減

所得制限以上のご家庭は、
支給額がひと月5000円(年齢に関係なし)に減額されます。
所得制限未満のご家庭に支給される児童手当は、
3歳未満がひと月1万5000円ですから、
3歳未満の間はひと月1万円も
支給額が減ってしまうわけです。

3歳以上の支給額はひと月1万円ですので、
3歳から中学を卒業するまではひと月5000円の減額。
15年間のトータルでは、90万円も
児童手当が支給減になってしまう計算です
(第1子と第2子で、3月生まれの子どもの場合)。

自民党時代の児童手当とは異なり、
新児童手当では支給を停止せず、減額に留めていますが、
所得制限を理由に児童手当の支給額をゼロにしてしまうと、
所得税、住民税の増税分がまるまる損になってしまいます。
支給がゼロにならなかったとはいえ、
所得制限以上となるご家庭では、
支給額を超える増税の影響を受けているのが現実。
新児童手当に変わって、手当が減額されたことは
増税とのダブルパンチといえるのです。
年少扶養控除の廃止で、国民健康保険料が上がる地域も

子ども手当の創設による、年少扶養控除の廃止によって、
「国民健康保険料」や「保育料」などへの
影響も気になるところです。
国民健康保険料については、
所得を基に計算する自治体(こちらのほうがずっと多い)と、
住民税額をベースに計算する自治体があります。

所得を基に計算する自治体の場合は、
年少扶養控除廃止の影響はあまりないはずですが、
住民税をベースに計算する自治体では、
年少扶養控除の廃止によって、
国民健康保険料がアップする可能性があります。
アップ幅を抑えるなどの措置については、
自治体ごとに判断が異なるようです。
住民税額をベースに国民健康保険料を計算する
自治体(たとえば東京23区など)にお住まいの方は、
国民健康保険の年度は6月から5月なので、
来月からの負担額がどのように変わるかをチェックしてみてください。

所得税を基に計算される保育料については、
年少扶養控除が使えなくなった今でも、
「年少扶養控除が使えるものとみなして」税額を再計算した上で、
保育料を決定してくれます。
そのため、年少扶養控除が使えなくなった今でも、
保育料が増額される心配はありません。
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