育児放棄把握生かせず 春日部5歳児死亡


YOMIURI ONLINE
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県検証委が報告書

春日部市で昨年8月、当時5歳の男児が
父親と叔父に暴行を受けた後に死亡した事件で、
児童虐待に関する県の検証委員会は11日、報告書を発表した。
同市と県越谷児童相談所がネグレクト(育児放棄)の
兆候を把握しながら、継続的に見守りが必要な
「要保護児童」から外した上、
市が同児童相談所に立ち入り調査を求めるなど
必要な措置を取らなかったことを指摘した。

報告書によると、2007年8月、
近隣住民が男児の泣き声を心配し、警察に通報。
08年1月から、市や同児童相談所などで作る協議会が、
要保護児童として家庭訪問を重ねた。

市は、〈1〉ケースワーカーが差し入れたパンや
菓子をむさぼるように食べる
〈2〉体から異臭がする
〈3〉破れた服を着ている――など
ネグレクトの兆候を記録していたが、
10年3月、体にあざや傷が見られないことなどから
虐待の危険性が低いとして、要保護児童から外した。

市はその後も家庭訪問を続け、死亡する前の約8か月間、
2度訪問したが、不在で会えなかった。
その間、男児は十分な食事を与えられず、
死亡時の体重は約10キロ・グラムで、
平均的な5歳児の半分ほどだった。

検証委員会は、ネグレクトが進行する危険性や、
子どもに会えない間に虐待が起きる可能性を
認識できなかったと指摘。
ネグレクトへの理解を深めることや、
児童に会えない場合、児童相談所の立ち入り調査などで
児童の安全を確認すべきなどとした。

市こども家庭課は「認識が甘かった部分がある。
要保護児童から外したことが
結果的に重大な事態につながった」としている。

検証委員会は、深刻な虐待事例を検証するため06年に設置。
弁護士や医師、県警幹部らで構成されている。
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