子どもこそUV対策を 色白肌は、より注意


東京新聞
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これから夏にかけては、
紫外線(UV)が一年で最も強くなる時季。
UVの害は遅れて現れることが多く、
屋外活動が多い子どもたちこそ対策が必要だ。 (竹上順子)

袖が長めの半袖シャツや、膝丈ほどのズボン姿の子どもたちが、
元気よく園庭を走り回る。
埼玉県朝霞市の根岸幼稚園では三年前から、
UVカット素材を使った体操着とスモックを採用している。

「子どもたちが園にいるのは紫外線が強い時間帯。
でも外遊びは大切にしたいので、対策に力を入れた」
と園長の原鉄郎さん。
園庭に木や小屋を配置し、
教室の窓が面する外廊下のひさしを大きくするなど、
日陰をつくる工夫もしている。

UVを急に大量に浴びると急性炎症(やけど)の
「サンバーン」を起こしたり、免疫力を低下させたりする。
また何十年もたった後に、皮膚がんや白内障を引き起こす。

東京慈恵会医大付属第三病院皮膚科教授の
上出良一さんは「細胞分裂が盛んな子ども時代は、
UVの影響がより大きくなる可能性がある」と話す。
UVによるDNA損傷も、
度重なると修復しきれないこともあるため
「無用なUVを浴びることは避けた方がいい」と注意を促す。

UVの中でも人体への害が大きいUV-Bは、
五月から八月に増える。
「梅雨の晴れ間は注意が必要」と上出さん。
一日の中では、午前十時~午後二時が特に多いという。

上出さんは「まずは子どもの肌タイプをみて」と話す。
色白で、日に当たった後に肌が赤くなるだけで
褐色にならない子の場合、UVダメージを受けやすく、
しっかりとした対策が必要だ。
日焼け後に褐色になるなら「あまり神経質にならなくてもいい」という。

学校などへの呼び掛けも広がっている。
日本臨床皮膚科医会は昨秋
「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」を公表した。
屋外活動ではテントの利用、
プールでは肌を覆う「ラッシュガード」の着用や
サンスクリーン剤(日焼け止め)の使用などを勧めている。

「大阪皮膚科医会などの調査では、
日焼け止めを使っても、プールの水は汚れないことが分かっている。
中には『日焼け止めは化粧品』として
禁止している学校もあるが、許可すべきだ」と上出さんは話す。

根岸幼稚園の体操服を作っている会社
「ピーカブー」(埼玉県和光市)は、
体操着や水着などの「スクールシリーズ」に力を入れている。
昨春、学校に子どもの健康情報などを提供する
「日本学校保健会」の推薦用品に認定された。

同社代表の松成紀公子さんは
「見た目は普通の体操着と同じ。
UV対策に理解のない学校もまだ多いが、
肌の弱い子には使わせてほしい」と話す。
◆眼疾患リスクも

目への対策も必要だ。
金沢医大教授の佐々木洋さん(眼科学)らの調査では、
野球部やソフトボール部など屋外での活動が多い中学生ほど、
UVの影響で白目の一部が黄色く盛り上がる
「瞼裂斑(けんれつはん)」の初期変化が
見られることが分かった。

瞼裂斑は失明につながる病気ではないが、
進行すると充血やドライアイの原因になる。
佐々木さんは「瞼裂斑があるということは、
同じくUVが原因の白内障や翼状片など、
将来の眼疾患発症リスクが高くなると考えられる」と警告する。

対策は、帽子をかぶり、
UVカット機能のある眼鏡やコンタクトレンズを使うこと。
UVは散乱するため、
幅広のつるなどで目の横からのUVを防ぐ
眼鏡やサングラスがいいという。
気象庁がHPで毎日公開している
全国のUV予測も役に立つ。
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