共働き家庭などの児童 放課後過ごす場 多様化


中日新聞
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共働きの親などが放課後に児童を預けられる場所が多様化している。
大都市を中心に、自治体が小学校の空き教室などで
進めてきた居場所づくりの行政サービスを拡充する動きがあるほか、
学習塾など民間事業者の参入も相次ぐ。
名古屋市の小学校で、
放課後子ども教室の現場を見た。 (吉田瑠里)

五限目のチャイムが鳴ると、一~四年生三十二人が
次々、空き教室に入ってきた。
名古屋市の広路小学校。
思い思いに着席し、宿題を始めた子どもたちは
十五分もすると「ドッジボールはまだ?」。

同校は、市が二〇一三年度から
放課後の居場所として始める「トワイライトルーム」事業のモデル校。
児童らは体育館でドッジボールに興じ、
教室ではブロックを広げて遊んだ。
面倒をみているのは子ども指導員と
地域ボランティアの二人。

児童らは順次、帰宅し、六人が午後五時以降まで残った。
「高学年の授業や部活動があれば校庭は使えない。
人手が足りず、外の公園に連れていくのも無理」。
責任者の元教頭の男性(68)は悩みを抱えながらも、
太鼓や編み物など、地域の人に習う行事を
企画して充実を図っている。

トワイライトルームは、
文部科学省の放課後子ども教室推進事業の一環として、
市が九割以上の小学校で実施してきた
トワイライトスクールの拡張版。
〇七年度に国が創設した放課後対策の中で、
就労支援として共働き家庭などの
子どもを預かる厚生労働省の放課後児童健全育成事業の
性格も併せ持たせるのが狙いだ。

午後六時まで、全ての児童が無料で預かってもらえた
従来の仕組みを変え、午後五~七時は
親が不在の児童に限定し、有料化。
六時までは月千五百円、七時までは月六千五百円になる
(本年度のモデル校は、午後五時以降で一律月五千円)。

モデル校では、就労支援を目的にした
午後五時以降の参加人数が年平均で、
一校当たり一~十二人と少なめ。
来年度から年間十~二十校、
五年間で七十校が移行する目標を掲げている。

同様の仕組みは、横浜市や川崎市で実施済み。
大阪市も来年度から始める見通し。



学習塾を展開する「拓人(たくと)」(東京)は
〇八年、首都圏で学童保育事業に参入。
昨年から今年にかけ、札幌市と名古屋市にも進出し、
現在は十五校を運営している。

三月に開校した名古屋市の「キッズデュオ」本山校では、
スタッフが近隣の九小学校にスクールバスで迎えにいく。
児童が英語だけで放課後を過ごすのが特徴。
訪れた日は二十四歳のオーストラリア人男性が講師を務め、
一~三年生十五人が工作を楽しんでいた。

「毎日来るのではなく、学童保育や
放課後子ども教室と併用する子も多い」と
事業本部の辻球一部長。
「五年後には全国で二百校、名古屋市でも
七年で十校に増やす予定」と意気込む。
行政からの補助金は受けず、料金は午後七時半まで週五回、
学校までの迎え付きで約六万七千円。

首都圏では、東急電鉄の子会社や水泳教室など、
学童保育への民間参入が相次いでいる。

放送大教授(社会福祉学)の松村祥子さんは
「子どもを預かる場所が増えれば、
さまざまなニーズに応えられる。
従来の学童保育は、異年齢の子どもたちが一定の時間、
一定メンバーで過ごし、成長していける面がある。
よく吟味し、親の都合でなく、子どもにとってどこが
放課後の生活の良き拠点となるか、考えてほしい」と話す。

<放課後子ども教室と学童保育>
 放課後子ども教室は、全ての児童を対象にした
文部科学省の事業。
学童保育は、共働きなど留守家庭の児童向けの
放課後対策で、所管は厚生労働省。
国は2007年から「放課後子どもプラン」として、
両事業の総合的対策を進めている。
一部の自治体では、民間学童保育への補助を
打ち切ったため、学童保育が減る要因にもなった。
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