音読 何のため? 親子のコミュニケーション深めよう


中日新聞
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音読といえば小学生の宿題の定番。
声の大きさはどうか、気持ちはこもっているか-。
子どもの声に耳を傾ける保護者はいろいろと気になるところ。
そもそも何のために音読をするのか。
音読との向き合い方を考えた。 (小形佳奈)

「宿題だからしかたなく」「効果に疑問」…。
ベネッセ教育情報サイトで利用者が意見を交わす掲示板には、
音読に関する保護者の悩みが書き込まれている。
いったい音読をすることで、どんな効果が生まれるのか-。

東京都小学校国語教育研究会会長で、
豊島区立池袋第一小学校の功刀(くぬぎ)道子校長は
「初めはたどたどしくても、やがて本人にも成果が見える。
声を出すことに自信が持てると自分の意見も
しっかり言えるようになる」と言う。

さらに「継続することで内容理解が深まり、読解力がつく。
国語ができる子は算数の文章題の
正答率も高い傾向がある」と指摘する。

大手予備校の東進ハイスクールでは、
授業後に高校生たちが英語のテキストを音読する。
同校講師の安河内(やすこうち)哲也さんは
「英語を完全に習得するには音読しかない。
音を使わないから、日本人は何年英語をやっても
話せるようにならない」と言い切る。

最初は文章の内容を考えながらゆっくり読む。
何度も繰り返して暗唱し、定番表現を体に覚え込ませる。
「ピアノ演奏を指が覚えて、自動的に弾けるようになるのと同じ」という。
目の前の大学受験だけでなく
「世界で使える英語を身に付けてほしい」と願う。

三十年にわたり私立中学受験の小学生を指導している
吉本笑子さんは六年前、
「親子ではじめる理科まるごと音読帳」を出版。現在三巻まである。
「耳で用語を覚えておくと、
後に授業で出てきた時に『聞いたことがある』と
興味を持って取り組める」という。

確かに、音読には学力アップに結び付く効果も期待できるが、
小学生の宿題となると目的が少し異なる。

功刀校長は「一、二年生のうちは、
声を出して読むことが楽しいと思うようになればいい」と話す。
読書の好き嫌いが二極化しており、
「なんとか読む機会を」との思惑もある。
家庭でのチェック用に「音読カード」を配る学校も多いが、
そこに書かれた保護者の評価が
成績に影響することはないという。

現代朗読協会代表の水城雄さんは
「親子のコミュニケーションを深めるのに最適。
一日一分でいいから真剣に聞いて
『楽しかった』『どきどきした』と感想を添えてあげて」
とアドバイスする。
子どもは「自分を丸ごと受け止めてくれた」
と満足するという。
 一方で「読む声に元気がない時は、
つらいことがあったサインかもしれない。
親が大きな声を強制すると、
自分にうそをついて元気を装ったり、
はきはき読めない自分を否定してしまいかねない」
と注意を促す。

子どもが楽しく読み、
読み手と聞き手がしっかり向き合うのが、
音読宿題の極意のようだ。

ただ、読むことが苦手な子どももいる。
発達障害などのある子に学習支援を行う
「アンダンテ西荻教育研究所」代表の
金子晴恵さんは「一律に同じ課題を出すのではなく、
読みが困難な子には、ふりがな付きの文章を
三行読むことを目標にするというように、
個々に合ったやり方を」と提案する。
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