脳死臓器提供 子ども対応、東北はわずか8施設


河北新報
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改正臓器移植法に基づき6歳未満として
初めて男児が脳死判定を受けて心臓などの臓器が提供され、
子どもの移植医療への注目が高まっている。
東北に目を向けると、脳死による臓器の提供体制が
整う病院のうち、子どもに対応できるのは3分の1にとどまる。
虐待の有無の確認やドナー家族のケアに課題を残すなど、
提供実現に向けた環境づくりは道半ばだ。

日本臓器移植ネットワークによると、
15歳未満の移植の待機患者は全国で79人(5月末時点)。
うち10歳未満は約半数の39人に上る。
移植ネットは都道府県別の患者数を公表していないが、
移植手術の体制が整う東北大病院によると、
同病院には15歳未満の4人が待機する。
東北で唯一の高度医療の小児専門病院として、
臓器提供施設になっている宮城県立こども病院の
白根礼造副院長は「心臓移植が必要な心疾患を
発症する子どもに限っても、全国で毎年20人以上いる」と語る。
子どもの脳死移植は海外で受けざるを得ない状況が続いただけに、
今回を移植医療の前進と受け止める。
ただ、厚生労働省が1月に公表した調査(昨年6月時点)で、
臓器提供の可能な東北6県の24病院のうち、
脳死の子どもの臓器を提供できるのは8施設=表=。
青森、福島両県は未整備だ。
回復力がある18歳未満の場合、
病院は通常の診療と並行して
慎重な脳死判定を求められるなど負担が大きい。
虐待があったかどうかを見極める必要もある。
小児の救急搬送が多い仙台市立病院は2000年、
医師やソーシャルワーカーらで虐待対応チームを組織。
昨年9月に初めて、子どもの臓器提供を想定した
院内シミュレーションを実施した。
山形県立中央病院も昨年、
小児科医を委員長に組織を発足させた。
仙台市立病院の村田祐二救急救命部長兼小児科医長は
「虐待の有無は普段から確認しているが、
証明するのはとても難しい。
日ごろから行政や警察、
児童相談所との連携が重要だ」と強調する。
ドナー家族のサポートも重要になる。
移植ネットは、小児の脳死移植が東北で実施される場合は
「本部から家族対応専門の移植コーディネーターを
派遣してケアに当たる」と話す。
だが、今月15日に東北連絡所(仙台市)を廃止するなど、
長期的に家族を支える体制は後退している。
改正法施行後の2年間で、15歳未満は今回も含めて2例のみ。
脳死にならなくても15歳未満で心停止した場合、
腎臓などの提供は改正法施行以前から可能だったが、
全国でも昨年までに31例にとどまる。
東北では、ともにゼロだった。
仙台市立病院の村田医師は「最善の医療を尽くし、
家族と信頼関係を築いた上で、
臓器移植という選択肢を公平に伝えなければならない」と、
医療機関の意識改革や体制整備の必要性を訴える。

[改正臓器移植法] 2010年7月施行。
臓器提供を拒否していない限り、
家族の承諾によって脳死の人からの臓器提供を可能にした。
15歳未満の子どもも生後約3カ月から
脳死で臓器提供できる。
15歳未満の脳死臓器移植は、
富山大病院(富山市)に入院していた
6歳未満の男児からの提供が2例目で、
2回の脳死判定の間隔を24時間以上空ける
6歳未満では初めて。
心臓、肝臓、腎臓が今月、
移植を待つ10歳未満の女児らに提供された。
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