県住に子育て枠 育児支援と団地活性化狙う


朝日新聞
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小学校入学前の子どもがいる世帯を対象に、
県営住宅の入居者を県が募集している。
昨年度実施したところ、募集数を上回る応募があった。
子育て世帯が隣り合って暮らせば、
育児の孤立化を防げるとの狙いだ。
高齢化が進む団地の活性化に、との期待もある。

県建築住宅課によると、「子育て世帯枠」は
「ハード面の育児支援」として昨年度からスタート。
民間の賃貸住宅は未就学児がいる場合、
入居を断られることがあるといい、
県営住宅を提供する必要性を感じていたという。
共同住宅に子育て世帯がまとまって暮らせば、
育児の悩みの解消にもつながると考える。

昨年9月、宮崎市の県営小戸団地で初めて募集。
団地の建て替えで以前の入居者が別の住宅に移るなどしたため
新規入居者を募った際、全28戸のうち16戸を
子育て世帯に限定したところ、42世帯の応募があり、
倍率は2・63倍だった。
  対象は、未就学児が2人以上いる世帯。
入居資格の月収は15万円8千円以下の基準を、
21万4千円以下に緩和した。
入居期間は原則10年で最大13年。
その後は、次の子育て世帯を募るという。

取り組みには、公営住宅の高齢化を食い止め、
世代を超えた交流でコミュニティーづくりの
強化につなげたい思いもある。

同課によると、県営住宅で65歳以上の
高齢者がいる世帯は全世帯の26・3%(2012年3月末)。
5年前から2ポイント強増えた。
うち一人暮らしは1045世帯で、全体の12・5%を占める。
公営住宅は一度入居すれば通常、
所得が高額(月収31万3千円)にならない限り
住み続けられるため、「高齢者は増える見通し」(同課)という。

実際、子育て枠は入居者に好意的に受け取られているようだ。

小戸団地で1人で暮らす会社員の60代の女性は、
「子どもの声が近くで聞こえると活気があっていい」と話す。
部屋から外に出てみようかなという気持ちになるという。
「自分も子育てをした。退職後に時間ができれば、
若い人を助けてあげられることもあると思う」という。

一方、家族4人暮らしで、
2人を子育て中の女性(29)も交流に前向きだ。
先輩世代の隣人の話を聞いて育児などの
助言をもらいたいと考える。
「育児以外でもいざという時に助け合える」と話す。

県は今後、小中学校が近くにあるなど
環境が整う県営団地で「子育て枠」を増やしていく考えだ。
宮崎市も08年度から市営住宅の子育て枠を設定し、
9団地で計23世帯が入居している。
県は、他の市町村の公営住宅でも同様の取り組みを勧めている。
(北村有樹子)
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