運動能力の向上は、幼児期の遊びから! 文科省が指針

msn産経ニュース
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最近、運動会で速く走れる方法などを指導する
家庭向けDVD教材などが人気を集めています。
ちょっとしたコツで結果が出るのがポイントですが、
そこには人間の体の仕組みに基づいたスポーツ理論があります。
一方、文部科学省はこのほど、
「毎日、合計60分以上、楽しく体を動かす」を
キャッチフレーズにした「幼児期運動指針」を策定しました。
速く走れるようになる教材と、役所の策定したガイドライン。
一見無関係に見えますが、実は意外と深いつながりがあるのです。

速く走る、逆上がりをする、跳び箱を跳ぶ。
いずれも運動が得意な子どもにとっては簡単なことですが、
苦手な子どもにとっては苦痛以外の何物でもありません。
しかも、これらができるかできないかが
子ども同士の人間関係にも影響すると言われれば、
保護者も無関心ではいられません。
指導教材などのブームもこのような保護者の心配からでしょう。
指導教材などをご覧になったかたはわかると思いますが、
運動・スポーツというのは複雑な体の動きを
合理的にコントロールすることで成果が上がります。
運動が苦手な子どもは、筋力が弱い、
反射神経が鈍いというよりも、
自分の体の動かし方をよく知らないのです。

一般的に、子どもが体の動かし方を覚えるのは
幼児期だと言われています。
しかし少子化や都市化によって集団で遊ぶ機会が減少し、
家庭でもお手伝いなどで体を動かす経験が減るに従い、
体の動かし方を十分に会得できない子どもが増えてきました。
最近の子どもの運動能力の低下は、筋力の低下よりも、
体の動かし方を十分に身につけていないことが
原因の一つであると指摘するスポーツ学の専門家もいます。

このため文科省は3~6歳児を対象にした運動指針を策定し、
子どもの発達段階に応じてどのような運動をさせ、
どんな能力を身につけさせればよいのかという目安を、
幼児教育関係者や保護者に向けて示すことにしたのです。

指針では基本的な体の動きを、
立つ・転がるなど「体のバランスをとる動き」、
走る・跳ぶなど「体を移動する動き」、
持つ・運ぶなど「用具などを操作する動き」の3つに分け、
3・4歳で「体のバランスをとる動き」と
「体を移動する動き」を身につけさせ、
4・5歳でさらに「用具などを操作する動き」を加え、
5・6歳でこれら3つの動きを洗練化する……という流れを示し、
その具体的な方法をガイドブックで例示しています。

同指針のポイントは、特定のスポーツや強制的指導ではなく、
遊びを通して子どもが楽しく自発的に
体を動かすことを重視していること、
そして、幼稚園・保育所や家庭などで
「毎日、合計60分以上」体を動かすという
目安を示していることです。
また、体を動かし子ども同士で遊ぶことは、
コミュニケーション能力の育成にもつながる
重要なことであると強調しています。

子ども同士で体を動かしながら遊ぶことの重要性を、
大人たちはもう少し理解すべきかもしれません。 
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