子ども医療費、広がる無料化…埼玉


yomiDr.
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埼玉県内自治体で、子どもの医療費無料化の動きが広がっている。

越生町が4月から対象を中学3年生から高校3年生とするなど、
5市町が引き上げた。
子育て支援策として期待されるが、
予算のバラマキになるとの懸念もある。
◇自治体格差

5月中旬にさいたま市浦和区のホテルで開かれた、
市町村長会議。乳幼児医療助成制度を巡り、
川合善明・川越市長が
「(自治体間で)医療費助成に格差があるのは好ましくない。
県で中学3年生くらいまで医療費助成をお願いしたい」
と口火を切った。

神保国男・戸田市長も「受益者負担は大事だが、
年齢を拡大してほしい。公平にお願いしたい」と訴えた。
上田知事は「悩ましい課題だ。
無料を喜ばない人はいない。
国で議論してもらいたい」と返した。

子ども医療費助成を巡っては、自治体間で対応がバラバラだ。
4月時点で、無料化の対象を
中学3年生までとしているのは、
入院が58市町村、通院は43市町村。
川越市も戸田市も入院は中学3年生までだが、
通院は戸田市が小学6年生、
川越市は小学3年生までだ。
◇引き上げ競争

無料化対象拡大の動きが目立つ背景には、
地方の人口の急減がある。
県全体の人口は増加しているが、
4月時点で半数を超す39市町村の人口が
前年に比べ減少した。

昨年、県内で初めて入通院ともに高校3年生までを
対象にした滑川町に続き、4月から越生町も引き上げた。
越生町健康福祉課は
「高校生の子どもを持つ家庭は学費の負担も大きい。
医療費助成で子育てを支援するのが狙い」と話す。

若い世代に魅力あるまちづくりをすれば、
地域の衰退に歯止めがかかると期待する自治体は多い。
大阪学院大の村上睦教授(財政学)も
「子育てには費用がかかる。
優先すべき政策だ」と評価する。
◇一部自己負担

ただ、それが地域振興にどこまでつながるかは不透明だ。
ある県幹部は「医療費の助成だけで住む街を
選ぶとも思えない」と、
予算のバラマキで終わってしまうことを懸念する。
立教大の池上岳彦教授(財政学)は
「他の行政サービスにしわ寄せが
及ぶ可能性もある」と話す。

厳しい財政事情をにらみ、
小学生以上は一定額までを
自己負担としている自治体もある。

飯能市は、月3000円まで自己負担。
助成制度創設にあたり、
子どもの医療費の平均を調べたところ、
この額だったため目安とした。
保険年金課は「財政には限りがある。
慢性疾患の子どもを抱える家庭など、
3000円を超えて支払っている場合は、
家計への負担も大きいとみて助成している」と説明する。

戸田市は個人負担分の3分の2を市が助成し、
3分の1は自己負担。
若い家庭が多く、子どもの数も増えており、
市の財政負担は大きいという。
予算を医療費以外の子育て支援策に振り向ける余地も生まれる。
だが、県内でほとんどの自治体が無料化を実施していることもあり、
2013年1月からの全額無料化を検討している。
「子育て家庭の負担を軽減させる」(こども家庭課)のが
大きな狙いだ。(栗原健)
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