出生率横ばい 少子化対策の拡充を急げ


西日本新聞
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人口減少が加速している。
国内の人口は昨年、初めて20万人を超える自然減となった。
東日本大震災の影響もあるが、
少子化が進んでいることが大きい。

女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す
合計特殊出生率が、2011年は前年と同じ1・39だった。
05年を底に回復基調にあったが、頭打ちとなった。

女性の人口が減った影響で、
出生率は同じでも出生数は105万人と、
1947年の調査開始以降最少だった。

出生率が足踏み状態になったのは、
経済的な理由で出産をためらう夫婦が多いからだ。
若い世代が抱く将来への不安解消と、
安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進めなければならない。

内閣府の調査では、子育てへの不安要因として
「経済的負担の増加」が最も多い。
次いで「仕事と生活・育児の両立」、
「不安定な雇用、就業関係」と続く。

若い世代の雇用環境は厳しい。
子育て世代の所得分布(07年)を見ると、
30代の年収は「300万円台」が最も多く、
10年前の「500万~699万円」から落ち込んだ。
低賃金にあえいでいる。

技術研修などを通じた非正規社員から
収入の高い正社員への後押しや、
就職に役立つ実践的な大学教育など、
若者の就業支援を積極的に行うべきだろう。

仕事と育児を両立できる環境づくりも急務だ。
子育て世帯の女性の9割近くが働くことを希望している。
だが現状は、保育サービスの受け皿が少なく、
就職を断念しているケースが多い。

保育所の整備は進んでいるが、需要には追いついていない。
保育所に入れない待機児童は全国で約2万5千人に上る。
最初から預けることを諦めている人を含めると、
100万人とさえ言われる。

政府は、幼稚園と保育所の一体化施設「総合こども園」の
創設案を取り下げ、民主、自民、公明の3党で
従来の「認定こども園」を拡充する修正案を提案した。
今国会で成立する見通しとなっている。
待機児童の解消に向けて実効性のある取り組みを求めたい。

少子化につながる未婚化対策も放置できない問題となっている。

50歳までに1度も結婚したことのない
生涯未婚率(10年)が、男性では2割を超え、
女性でも1割を突破し、過去最高となった。
30年前と比べると男性で約7倍、女性で約2倍という高率だ。

20~39歳の未婚男女の9割近くが結婚したいと考えている。
就業先の待遇改善と合わせ、
行政も男女の出会いの場をつくるなど、
結婚支援にも力を入れてはどうか。
佐賀県伊万里市は婚活応援課を設置し、
一定の成果を挙げている。

少子化が進み人口が減り続けると、
年金や医療など社会保障の担い手が大幅に不足し、
制度維持が難しくなる。

仕事と生活の調和を図るワークライフバランスを含め、
若い世代が安心して家庭を持ち子育てができる環境づくりを、
あらゆる手段で進めなければならない。
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