「子の被曝が心配」岩手離れる 泥んこ保育あきらめ、島根へ


朝日新聞
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原発事故による健康リスクを恐れ、岩手を離れる家族らがいる。
金ケ崎町の共同保育グループ代表だった
高橋奈津子さん(36)は昨年11月から3歳の娘を連れ、
島根の離島で暮らす。
戸外で泥んこになって育てる理想の保育が
子どもの被曝(ひばく)リスクを高めるかもしれず、
耐えられないという。

4月末から一時帰宅していたが、22日、島根に発つ。
仕事のため残っていた夫も8月には沖縄へ向かう。
鹿児島や兵庫に避難している友人もいる。

同町の地上1メートルの放射性物質の空間線量は、
国の基準(1時間あたり0.23マイクロシーベルト)より低い。
それでも軒下などが局所的に高くなり、町が除染している。
生シイタケの出荷が制限され、
薪(まき)ストーブの灰を一時保管するなど
放射能問題が生活に影を落とす。

奈津子さんは一関市出身。
大学卒業後も東京で暮らしていたが26歳で帰郷、
岩手の豊かさに気付いた。
同町で和紙のオブジェを作り、人と自然とアートを組み合わせた
イベントを開いた。出産後は町内の森林公園で
共同保育「風の子 木の子 森のようちえん」を始めた。
盛岡や遠野から参加する母子もいた。

震災後、はじめは被災地支援に走り回っていたが、
放射線リスクの情報を集めるうちに不安が募った。
除染は徹底が難しいうえ、放射性物質を移動させるだけで
消すことはできない。
長女にマスクをさせたが、すぐ外してしまう。
なるべく戸外に出さないようにしたが、もともと一日中、
外で遊ばせ、時には野草も口に入れてしまう元気な子。
説明できないし、ビデオばかり見せる生活に自分も疲れた。

昨年6月以降、名古屋や北海道で一時過ごし、
11月からは友人の弟がいる島根・隠岐諸島の海士町で暮らしている。
町内の飲食店で働く夫(35)も、
自家製野菜などを用いる自然食レストランの夢をあきらめ、
近く沖縄でログハウスを建てる仕事に就く。
落ち着いたら妻子を呼び寄せたいという。

整理のため、岩手に戻った奈津子さん。
一見のどかな自然や知人らとの再会に心が揺れた。
でも天音ちゃんに個人線量計をつけたら、外遊びする分、
値が高くなり、やはり残れない、という。
「故郷の良さを再発見した後の別離が悔しい」(伊藤智章)
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