「保育ママ」実施の自治体が増加 福祉の気持ち…手厚さが好評


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待機児童問題が解消されない中、
家庭的な環境で乳幼児を預かる
「家庭的保育事業」(保育ママ)を実施する自治体が増えている。
少人数で、きめ細かい保育が特徴だ。
平成22年度の改正児童福祉法で
国の補助事業となったことで弾みがついた。(村島有紀)

 家族のように

保育ママは、自治体の研修を受け、
認定された保育士らが自宅などで子供を預かる。
個人が事業主となって実施する「個人型」と、
認可保育所の保育士がマンションなどで
実施する「保育所型」がある。
厚生労働省によると、利用している子供は、
21年度の2595人から昨年度は5708人と、2・2倍に増加。
このうち、「個人型」が9割を占める。

41人の個人型保育ママがいる東京都大田区。
その一人、田屋(たや)良美さん(55)は
共同保育所の運営経験などを生かし、
22年5月から駅近くの民家で子供を預かり始めた。

玄関に「大田区認定 家庭福祉員 保育ママの家」の
看板を掲げ、多いときで3人の乳幼児を預かる。
保育時間は午前8時から午後5時まで。
しかし、保護者の勤務時間によって時間外保育も行い、
長女(28)らが補助する。

「昨年の地震(東日本大震災)のときは、
大学生の次男に応援を頼み、乗り切りました。
近所の人たちも、ここに小さな子供たちがいることを
知っているので、いろいろと助けていただいた」と
田屋さんは話す。

区保育サービス課の担当者によると、
保育ママの利用者アンケートでは、
「愛情深く、丁寧に対応してもらった」
「家族のように手厚い保育がうれしかった」などと好評だ。
担当者は「保育ママは収入目的ではなく、
福祉の気持ちから保育する人に限っている」。

 「密室」懸念も

一方で、自宅で預かるという環境から、
「密室育児」を懸念する自治体もある。
過去に保育ママによる虐待問題が起きた世田谷区では、
個人型よりも保育所型に力を入れる。
「家庭で預かるというより、保育所の小規模分園。
基本の保育時間を超えたら保育所で
預かることもできる」と利点を話す。

これまで個人型保育ママを導入していなかった大阪市は、
橋下徹市長の「待機児童ゼロ」の公約を受けて
今年度、初めて保育ママの募集を始めた。
120人の募集に対し、235人が応募、
9月まで研修が行われる。



 保護者の考え方とのマッチングが課題に

東京成徳大学の神長美津子教授(幼児教育)の話
「ゼロ歳から2歳までは集団保育より、
1対1の関係を築きやすい家庭的保育がいい場合がある。
私も20年前に保育ママを頼り、
心配事の相談に乗ってもらい、助かった。
ただ、保育の質は人や自宅の環境によって異なるので、
保護者と保育ママの相性や育児に対する考え方を
どのようにマッチングさせるのか、
その保育の質をどう担保し続けるかが課題だ」

【用語解説】家庭的保育事業(保育ママ)

保育スペースは子供1人当たり
3.3平方メートル以上など認可保育所と同等。
保育ママには国から子供1人当たり5万2200円の補助金が出る。
改修費の補助などもある。
保護者が負担する利用料は、
「2万円」「3万円」(1カ月)などと一律にしている自治体と、
認可保育所と同様、収入によって
負担額が異なる応能負担としている自治体がある。
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