中国の子ども肥満化めぐる都市伝説 「西洋の常識」通じない調査結果とは

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北京で子育てをする日本人ママ達から、
「中国人の子供ってなぜあんなに大きいのだろう」
という疑問をよく耳にする。
確かに中国の子供たち、日本の子供に比べて
概して大きい気がする。

日本人だったら中学生かと思う体型の子供が
小3だったりするのも珍しくない。
三国志の英雄、関羽は身長2メートルを超える
巨人だったというから、この子達が大きくなると
関羽みたいになるのかなあと思いたくなるほどだ。
ただ、この中国の子供たち、
背が高いだけでなく幅もかなりある。

中国に住むと大人でも背が伸びる?

1985年には2%未満だった中国の小児の肥満率が、
いまや20%を超え、男児にいたっては3分の1が肥満、
という数字もある。
夏休みには肥満児用の減量キャンプも盛況だそうだ。
肥満は糖尿病の危険因子の一つでもあり、
小児の糖尿病患者も増えている。
現在、世界の糖尿病人口の第1位は中国で約 9000万人だが、
これが2030年には1億3000万人近くになると予測されている。
小児肥満が増加すれば、
さらに増加に拍車がかかるのではないだろうか。

中国の子供はなぜ巨大化しているのか。
果物や野菜の生育に成長ホルモンが使われているからだ、
という説もある。
中国に住むと大人でも背が伸びる、
という都市伝説のような噂もあり、
友人の1人(成人女性)は
「中国に住んで背が2センチ伸びた。本当に!」と
主張しているが、これはちょっと眉唾だなあと話半分で聞いている。

ファストフード食べ過ぎ説も有力だ。
一人っ子政策で、両親と4人の祖父母、計6人の愛を
一身に受ける子供は「小皇帝」とよばれ、
お腹がすいてマクドナルドやKFCを食べたいと言えば
すぐに与えられ、毎日のように食べているから太るのだ、
という説だ。
中国ではまだ一般に「肉=健康によい」という認識があり、
これもファストフード志向に一役かっているだろう。

ある日本人ママは、「粉ミルクじゃないか」という。
日本では離乳するとたいていが通常の牛乳に移行するが、
中国人ママは子供が4、5歳になっても
栄養強化粉ミルクを与えていることもあるという。
確かにスーパーで売っている粉ミルクには
3~6歳用というのもある。

成分をみてびっくりした。
白砂糖や蜂蜜が入っているのだ。
そりゃ太るだろうと思うのだが、
DHAやビタミン類も強化されていて、
「これを飲むと子供の頭がよくなる」という
期待を抱かせるのだろう。
児童用栄養強化牛乳も売っているが、
こちらも白砂糖、蜂蜜入りだ。

食生活だけでなく、学校の宿題が多く、
課外スポーツをする時間がない、自動車保有率が増え、
子供も親も歩かなくなった、なども
肥満増加の理由と考えられている。

「肥満の子供は算数の学力が劣る」報道も

ところが、こういう予測に反する研究結果が
2011年、報告された。
「American Journal of Health Behavior」という
医学誌で発表された報告によると、
中国でも、睡眠時間が少なく、
座りがちな活動(テレビゲームなど)の
時間が多いティーンに過体重が多いのは
西洋諸国と同じなのだが、両親の教育が高く、
裕福な家庭の子供のほうが過体重になりやすいという、
西洋諸国とは逆の傾向が示されたという。

低年齢の小児のほうが、
年齢が高い小児より過体重になりやすい
というのも西洋と逆。
さらに、活発な運動をし、野菜摂取が多く、
甘いものの摂取が少ないと過体重になりやすいという
不可思議な結果も示された。
西洋諸国とは異なる文化習慣や社会的因子が
中国では作用しているのだろうと、
この論文では推測している。

さて、先(6)月「Childe Development」という医学誌に、
「肥満の子供は算数の学力が劣る」という報告が掲載され、
中国の新聞でも広く報道された。
「太ると成績が下がる」となると、
学力重視の中国社会では大問題だ。
これを機に砂糖入り牛乳とファストフードを
控えるようにならないものだろうか。
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