福島からの母子避難、重い経済負担 朝日新聞アンケート


朝日新聞
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東京電力福島第一原発事故のあと、
福島県から子どもを連れて県外に避難している母親たちに、
経済的、精神的負担が重くのしかかっていることが、
朝日新聞が実施したアンケートで明らかになった。
こうした「母子避難」は避難指示区域外からがほとんどで、
避難に伴う費用は基本的に東電による賠償の対象外。
母親たちは支援を強く求めている。

■二重生活、子どもの心に影響

福島県では、多くの親と子どもが地元にとどまっている。
その一方で、放射能が健康に与える影響を心配し、
仕事の関係などで残る夫らと離れ、
県外に母子避難している人も少なくない。
ただ、母子避難に焦点を当てた広域的な調査はなく、
窮状や課題が明らかになっていない現状がある。

アンケートでは222人の母親から有効回答を得た。
避難生活で困っていることとして、
191人(複数回答)が「二重生活による経済的負担」を挙げた。
「父親と離れていることで子どもに精神的な影響が出ている」
と心配する人も93人と多い。
いまの暮らしで改善・向上が必要なことは、
「生活一時金の支援」が148人(同)と最多だった。

二重生活による経済的負担の額は、
月7万~10万円が63人、5万~7万円が60人、10万円以上も48人。
負担が重いのは「福島との間の交通費」が
110人にのぼり、食費、光熱費の順だった。

経済的負担額の差の主な要因は、
自治体が避難者のために用意する借り上げ住宅に
入っているかどうかの違いとみられる。
家賃負担のない借り上げ住宅を提供しているのは
受け入れ側の自治体の一部。
避難先を決める要素として、借り上げ住宅を挙げた人が
127人(複数回答)に達し、行政の支援を望む姿が浮かぶ。

避難した理由は、219人(同)が
「放射能による子どもの健康被害への不安」を挙げ、
「子どもを外で遊ばせられない」も183人。
「自分の精神的ストレス」と答えた人が
「子どもの精神的ストレス」の2倍近い。

避難生活をいつまで続けるのかを尋ねると、
「子どもがある程度大きくなるまで」が49人、
「放射線量が下がるまで」が47人。
「戻るつもりはない」も48人いて、遠い所に避難している人に多い。

福島に戻る場合心配なことは「子どもの学校の問題」が
125人(複数回答)と最多。
子どもの友人関係、近所や地域の人たちとの関係、
知人との関係が続いた。(西村隆次)



〈アンケートの方法〉 秋田、山形、新潟、岡山各県と
北海道の避難者のグループや支援団体を通じ、
6月以降、調査票を配布、回収。
記者が避難者に直接依頼したり、
福島総局のツイッターで呼びかけたりもした。
222人の母親から有効回答を得た。
避難先は19都道県に及び、山形85人、新潟46人、
秋田36人、北海道14人、東京10人などの順に多い。
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