母乳育児 知能指数向上説は迷信


sankeibiz
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子供との触れ合いを大切にする育児法、
いわゆる「アタッチメント育児」を提唱する人々は、
授乳期間の延長など子供のあらゆる要求に応えようとする。
だが、こうした取り組みが
子供の知能に良い影響を与えるという主張には穴があるようだ。

子供が受ける最大の恩恵はそもそも、
こうした育児法を実践できる家庭環境から生じる。
この意味で、アタッチメント育児は富裕層で好まれる傾向にある。
そして幸いにも、それほど裕福ではない家庭にも、
同様の恩恵を享受する道は開かれている。

アタッチメント育児に関する厳密な
科学的調査が行われたことはまだないが、
母乳育児が子供の知能指数を向上させるという主張については、
徹底的な調査が行われた。
職場復帰した母親でさえ、多くは子供が
将来高い知能を持つためには授乳が不可欠であると信じている。
だが、これが単なる迷信であることが研究により明らかになった。

母乳で育った子供の知能が
ミルクで育った子供よりも高いのは事実だが、
関係しているのは母乳ではなく母親の頭脳なのだ。
米国では、母親の知能指数が周囲よりも15ポイント高い場合、
母乳育児を行っている確率が2倍以上高まる。
また、授乳している母親はより高い教育を受けており、
喫煙率が低い傾向にある。
知能の高い両親は、優秀な遺伝子とより良い刺激を
与える環境という、子供の発達に重要な
2つの恩恵をわが子に与えている。

5000人以上の子供のデータを含む
複数の研究の解析では、母親の特性を考慮すると、
母乳育児と関連づけられていた知能指数の差が消滅した。

発達の鍵となるのは、所得、職業、教育で形成される
家庭の社会経済的地位だ。
一卵性双生児と二卵性双生児を比較したところ、
中流家庭では環境よりも遺伝的要素の方が
子供の知能の発達に影響力を持つことがわかった。
大半の中流家庭は、子供の遺伝子的潜在能力を
十分に発揮させ得る環境にあるようだ。

他方、貧しい環境が遺伝的優位性を
消し去る可能性のあることが最近の研究で示され、
社会経済的地位の低い家庭では
良質な育児が極めて重要となる。
(ブルームバーグ Sam Wang、Sandra Aamodt)



Sam Wangは米プリンストン大学の
分子生物学・神経科学准教授。
Sandra Aamodtは米科学誌、
ネイチャー・ニューロサイエンスの元編集長。
内容は両氏の見解です。
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