幼稚園バス、シートベルトは必要か 義務化求める声も


朝日新聞
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幼稚園バスにシートベルトは必要か――。
緊急時に脱出しやすくするため、
今は備え付けを義務化していないが、
保護者からはけがを心配する声が上がっている。
国土交通省は、ベルト義務化も含めた四つの案を検討している。

茨城県つくば市の交差点で今年3月、
送迎中の幼稚園バスが乗用車と出合い頭に衝突し、
横転する事故があった。
園児16人が頭などにけがをし、うち1人が重傷を負った。

国交省によると、2003~08年、
幼稚園バスに乗っていてけがをした園児らは計569人。
ほとんどは軽傷で、前の座席などに顔や頭をぶつけていた。

幼稚園バスは、道路運送車両法の
省令が定める「幼児専用車」が多い。
シートベルトの設置義務はない。
火災や事故の際、子どもが自分で外せなくて
脱出に支障がでる恐れがあることや、
転げ落ちにくいようにいすが小さいこと、
引率の先生も同乗していることが主な理由だ。
子どもの体格差は大きく、
国交省が安全性を確認できたベルトは、まだない。

08年に乗用車の後部座席での
シートベルト着用が義務づけられると、
ベルト着用が当たり前と受け止める親が増え、
バスにもベルト設置を求める署名運動が起きた。

子どもの事故防止に取り組む小児科医の山中龍宏さんは
「子供の頭は大きくて重いので、ぶつけやすい。
大人より周りに注意を払えないので、
シートベルトなどで体をしっかりと固定すべきだ」と指摘する。

■国交省4案、一長一短

国交省が進める検討会議では、
シートベルト以外の安全策も議論されている。
先月26日の会議で国交省は、
前の座席の背面に衝撃吸収クッションを設置する
▽座席の背を高くする▽席と席の間を狭くする
――といった対策も提案した。
シートベルトを導入するのか、ほかの安全策を採り入れるのか、
複数の策を組み合わせるのかを検討し、
義務も含めて対策をまとめたい考えだ。

ただ、どの案にも一長一短がある。
背もたれを高くすると衝撃を受けても
車外に投げ出される危険性は減るが、
同乗する大人の目が届きにくくなる。
前の座席との間を狭くすれば、
ぶつかる際の勢いは小さくなるが、逆にぶつかりやすくなる。
前の座席の背面にクッションを設置する方法は、
開発がこれからだという。

子どもを預かる現場には、今のままで良いとの声もある。
東京都内のある幼稚園長は、
「体調が悪くなった子どもを窓側の席に移すことは珍しくない。
でも、シートベルトをしていると着脱の手間が増える」と指摘する。
バスの値段が上がるのも心配だという。

国交省は年度内に結論を出す予定だ。
その後に新たに設計されるバスから、
新しい安全策が採り入れられることになる。(川見能人)
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