塾講師 児童養護施設に、都内大手がボランティア


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 立川市の児童養護施設「至誠学園」で、
都内の大手進学塾「ena」(学究社)のプロ講師が
1月から、学習ボランティア活動を行っている。
ユニークな試みだが、施設出身者の
大学進学を後押しするには、
経済的な公的支援の拡充が欠かせない。(大津和夫)

同園には、毎週木曜午後5時半に
同塾の講師4~5人が訪問し、1時間半にわたり、
小中学生約20人の指導にあたっている。
学力に応じて教材を用意し、
教えた内容や授業の様子などを記録している。

子どもと面談も行い、学習意欲や今後の希望について
同園と情報を共有している。すべて同塾の負担だ。
同社執行役の池田智美・管理本部長代理は
「地域貢献の一環で始めた。勉強をあきらめず、
未来に向けてステップアップしてほしい」と話す。

親から満足に食事も与えられないなど、
勉強どころではなかった環境で育った子も少なくないが、
塾の指導を通して、成績が上がり、
顔つきが変わってきた子も出てきたという。

同園統括学園長の高橋利一・法政大名誉教授は
「プロの支援は珍しいことで、ありがたい話。
様々な問題を抱える子どもが学習意欲を高める機会を
早い段階でつくることは、将来につながる」と話す。

同園では大学生の団体もボランティアで学習支援しており、
寄付金などの援助を受け、毎年10人程度の高卒者のうち
3、4人が大学や短大に進んでいる。

だが、都全体でみれば、施設出身者が
大学に進むケースはごくわずかだ。
施設などの出身者を対象に、
都が2011年8月にまとめた調査によると、
最終学歴が大学卒(短大含む)の割合は6・6%。
都全体の大学進学率は65・5%(11年度)で、
その差は歴然だ。

経済的な事情が背景にある。
児童福祉法では原則、18歳までに施設を出ることになっており、
大学を卒業するには、学費に加え、生活費も4年分必要になる。
施設などから支援を受けられる人は限られ、
「学力や意欲はあっても、断念する子が多い」と、
ある施設職員は言う。
一部援助を受けて進学したとしても、
アルバイトに追われ、中退するケースも後を絶たない。

約10年間、施設の子どもたちの自立支援を行っている
NPO法人「エンジェルサポートセンター」(立川市)の
高橋利之理事長は「家庭の事情で
高等教育の機会が限られることは、国の損失。
民間団体には支援に限りもあり、奨学金の拡充など、
公的な支援の強化が必要」と指摘する。
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