赤ちゃんの強い揺さぶりやめて 育児ストレスによる誘発も


西日本新聞
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育児のストレスから赤ちゃんを強く揺さぶり、
結果として脳に障害をもたらす虐待事件が相次いでいる。
「あやしても泣きやまない」とイライラしてあたる例もあるようだが、
そのことによって子どもは「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」
という症状に陥ることが少なくない。
最悪の場合は死に至る極めて危険な行為だ。
専門家は「赤ちゃんは必ず泣きやむ。
自制心を一瞬でも失うと
取り返しのつかない結果になる」と注意を促す。

わが子に対する傷害罪で今月3日に起訴された
横浜市の男(32)は、生後5カ月の長女の頭を揺さぶり、
硬膜下血腫などの重傷を負わせたとされる。
九州でも鹿児島地裁が5月、泣きやまない生後6カ月の
三男を強く揺さぶり脳に障害を負わせたとする
傷害罪で鹿児島県姶良市の女(29)に懲役3年、
執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

NPO法人ふくおか・こどもの虐待防止センター(福岡市)によると、
電話で相談を受ける「虐待防止ホットライン」には
「泣きやまない赤ちゃんがかわいくない」
「1歳の子どもが泣き続けるので不安になる」
といった声が寄せられる。
こうした気持ちでいるときに子どもを思わず強く揺さぶり、
SBSに至らせる危険があるという。

センターや福岡市こども総合相談センター「えがお館」によると、
SBSは、空中に放り投げたり
腕や足をつかんで振ったりするなど、
多くの人が「危険だ」と感じる激しい揺さぶりのときに起きやすい。
特に生後6カ月までが危ない。
あやすため「高い、高い」と優しく揺らしたり、
車に正しく装着したチャイルドシートに
座らせた際の振動などでは基本的に発症しない。

予防のためにセンターは、SBSを紹介するリーフレットを作り、
福岡県内の産婦人科や小児科などに配布している。
赤ちゃんが泣き続けたときは
(1)安全な場所に寝かせて少し離れてみる
(2)深呼吸する
(3)誰かに話を聞いてもらう-ことを心掛けてほしいという。
揺さぶられた子どもがどれほどの
衝撃を受けるかを知ってもらうため、
助産師や母親を対象とした研修会では
人形を使った実演もしている。
センター事務局長の松浦恭子弁護士は
「母親だけでなく、育児に関わるみんなが理解すれば、
必ず防げる」と話す。

ふくおか・こどもの虐待防止ホットライン
=092(738)7404=火、水、土曜の午前10時~午後2時。


▼乳幼児揺さぶられ症候群

強く揺さぶられた乳幼児に起きる重症の頭部損傷。
シェイクンベイビーシンドローム(SBS)とも呼ばれる。
乳幼児は頭蓋骨と脳との隙間が大人より広く、
頭部を支える首の筋肉も弱い。
強く揺さぶられると脳が頭蓋骨の内側に
何度も打ち付けられて頭蓋内出血や眼底出血などを起こし、
精神発達遅滞や視力低下などの
障害を招いたり死亡したりする。
厚生労働省の指導で、各自治体は
2002年度から母子手帳で注意喚起している。
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