奈良市検証・仲川市政3年:/中 「保育所誘致」一転凍結に /奈良


毎日jp
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 ◇合意優先か公約強行か

「保育所についてはいったん凍結します」。
近鉄大和西大寺駅の南側に奈良市が持つ土地の使途を巡り、
7月11日にあった市と地元住民の協議。
民間保育所の誘致を目指してきた仲川げん市長は、
強気の姿勢を一転させ、住民の理解を得た上で
使途を決める考えを示した。
長年、コミュニティー施設の建設を求めてきた男性(70)は
「柔軟な姿勢を見せてくれてほっとした」と胸をなで下ろした。

保育所誘致は、今年度の予算編成過程で仲川市長が発案した。
青写真はこうだ。
西大寺駅前の空き地を保育所用地として
市土地開発公社から買い戻し、
国の「安心こども基金」を活用して
民間事業者に保育所を建ててもらう。
市の財政負担を抑えながら、
ターミナル駅近くに保育所を新設できるのが利点だ。

待機児童対策は元々、仲川市長の公約の一つだ。
就任から2年以内に待機児童をなくすことを目標とし、
駅前保育所を5カ所整備する具体策を掲げた。
しかし、就任後の新設は2カ所どまり。
7月1日現在で135人の待機児童が依然存在しており、
公約達成にはほど遠いのが現状だ。

この状況下で持ち上がった保育所誘致案は、
コミュニティー施設の建設を求めてきた
地元住民たちの目には「公約実現のための強行手段」と映った。
反対機運の高まりを受け、仲川市長も「仕切り直し」を
宣言せざるを得なかった。
地元の伏見地区自治連合会の森田裕之会長(60)は
「保育所が必要なのは分かるが、なぜこの土地なのか。
公約ならば、就任1年目から適当な土地を
探すべきだったのではないか」と話す。

保育所に使う道が閉ざされたわけではない。
しかし、今年度内に「突貫工事」で誘致できる見通しは不透明になった。
「良いアイデアだっただけに、
当初から地元にきちんと説明しておけば…。
市長には焦りがあったのだろうか」。
市の管理職の一人がぼやいた。



仲川市長が市長選で掲げた33項目の公約の中には、
外郭団体の整理統合など既に達成と言えるものもある。
未達成の公約も、市議会に2度否決されて事実上断念した
「1%支援制度」などの例外を除けば、
ほとんどの項目で実現方法を模索する動きが進む。
こうした姿勢に対し、「6〜7割で合格点。
100%にこだわるとひずみが生まれる」と
いさめる市議や専門家もいる。

6月下旬、公約の一つとして設置させた
「奈良ひとまち大学」で講師を務めた仲川市長は、
市議ではなく市長を志した理由を尋ねられ、こう答えたという。
「せっかちで理想に燃えている人にはぴったりだから」。
残り1年の任期で「理想」を実現しようとすれば、
どこかで強行突破が必要になる。
反対を押し切るか、合意を重視するのか。
仲川市長は難しい局面を迎える。
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