3歳からの性教育  ごまかさず向き合って


中日新聞
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「おしっこの最中に『おちんちんが大きくなっちゃった』
と言われてうろたえてしまった」。
東京都目黒区の子育てサークル定例会。
二歳三カ月の男児の母親からの質問に、
講師の天野ひかりさんが
「不思議だね、と共感し、男の子ならおしっこがたまった時は
当たり前だということを伝えて」と助言する。

天野さんはかつてNHKの育児番組で
キャスターを務めた経験を生かし、各地で親子教室や講演会を開く。
「日本人は性とお金の話をタブー視するが、
生きていく上で大切なこと」ととらえ、
「三歳からの性教育」も主要テーマに掲げる。

“人間と性”教育研究所所長の高柳美知子さんは
「うそをついたり、はぐらかしたり、怒ったりすると、
子どもにとって性は親の前では口にしてはいけないものになり、
ポルノで覚えるものになってしまう」と訴える。

性教育といえば、女子だけ教室に集められて
月経について話を聞いたのが今の保護者世代。
小中学校では現在、理科や体育で器官の名前や
受精について教えるが、性交については取り上げない。
「だからこそ、家庭の役割は大事」と高柳さんは話す。
「子どもは自分の体や、お父さんお母さんとの違いについて、
純粋に知りたいだけ。ごまかさず向き合ってほしい」

どう答えればいいか分からない場合は、本の助けを借りる。
親子で一緒に学ぶ絵本や、体の仕組みがわかる図鑑、
親の心構えを説いた本などさまざまな本が出版されている=表。

「赤ちゃんはどこから来るの?」。
ある日突然、幼い子どもが発する素朴な疑問。
そんな時、親はどう答えればいいのか-。
ごまかさずに対処する方法を、子育てや性教育の専門家に聞いた。
 (小形佳奈)

妊娠・出産の仕組みや命の大切さを伝える「誕生学」として
性教育を普及させる動きもある。
お産に関わる講演活動などをしてきた大葉ナナコさんが
二〇〇五年、誕生学協会を設立。
幼児から大人まで年齢に応じたプログラムや、
教員向けの「いのちの授業研究会」に講師を派遣している。
子どもに生命誕生の素晴らしさ、命がつながる喜びを伝え、
自尊感情を高めることが目的だ。

五歳までに80%の子どもが親に
「赤ちゃんはどうやって生まれるの」と聞くという。
幼児のうちは「お父さんとお母さんが仲良くしたら、
おなかに赤ちゃんが来た」
「お母さんの命の道を通って自分の力で出てきた」と
事実を分かりやすく話し、
「生まれてきてくれてありがとう」と伝えて、と大葉さん。

第二次性徴を迎える前、九歳ごろまでにこうした話をすると、
その後も家庭内で性について話しやすくなるという。
その時期を過ぎた場合は、
思春期向けの本をさりげなく置いておくなどの工夫を。
保護者が子どもからの質問や相談にきちんと
答えられる知識を持つことが大切だ。

◆お薦めの本

「赤ちゃんのはなし」 (福音館書店)

「おちんちんのえほん」 (ポプラ社)

「メグさんの女の子・男の子からだBOOK」 (築地書館)

「いつからオトナ? こころ&からだ」 (集英社)

「イラスト版10歳からの性教育」 (合同出版)

「ライフ 誕生学の現場から」 (ポプラ社)
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