広がる防災キャンプ 養え 柔軟な対応力


中日新聞
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東日本大震災の影響で、子どもたちがキャンプを通じて
防災を学ぶ取り組みが広がっている。
自分たちで火をおこしてドラム缶風呂に入ったり、
寝袋や段ボールで小学校に寝泊まりしたり。
不便さに慣れることで、有事にも柔軟に対応できる力を
養うのが狙いだ。明日は防災の日-。 (細川暁子)

子どもたちがまきに火を付け、
ドラム缶風呂を温め続けること四十分。
「気持ちいい」。人肌の温度になったお湯に入り、
小学生の男の子が叫んだ。
栃木県内で七月下旬に開かれた四泊五日の防災キャンプ。
県内の小学生約二十人が参加し、
被災生活の疑似体験や防災訓練を行った。

寝泊まりしたのは、栃木市の「県立太平少年自然の家」。
東日本大震災直後に福島県内の被災者
約百三十人が避難生活を送った場所だ。
夕飯はお湯を入れて食べる非常食の五目ご飯と、
バナナのみ。夜は寝袋で眠った。

震災や五月の竜巻被害で防災教育の重要性が高まり、
県教委が今年初めて開催。
小学五年生の女児(10)は、
震災で大きな被害を受けた那須塩原市から参加した。
震災時は小学校の校庭に避難したが、
窓ガラスが割れたことがショックで泣いてしまったという。
キャンプでは、煙を充満させたテントから
脱出する訓練に参加。
「前が見えなくて怖かったけど、
テントの壁を触ったら落ち着いた。いい経験になった」

被災生活の疑似体験は、学校現場にも広がっている。
埼玉県戸田市の芦原小学校では、
夏休み前に親子を対象にした防災キャンプを実施。
地域のボランティアらが企画し、
親子約二十人が体育館に
寝袋やタオルなどを持ち寄って宿泊した。

女性(42)は、一年生の男児(6つ)と参加。
震災時は都内から夜通し歩いて帰宅した。
「子どもが避難先で夜を過ごすことがあるかもしれない。
いつもと違う環境に慣れさせておくことが
大切だと思う」と話す。

東京都新宿区の東戸山小学校でも、
夏休み中に防災キャンプを実施。
児童と教員、保護者と地域住民約三百人が参加した。
昨年、津波被害を受けた宮城県内の小学校に
一年間派遣された牧田健一副校長は、
「防災教育の大切さを痛感した」と話す。
キャンプでは避難所の開設を想定し、
子どもたち自身が机を移動したり、
寝るための段ボールを運んだりした。
「有事ではみんなで助け合わなくてはならない。
子どもたちも頼りになる。
自分たちにできることは何かを考えてもらった」と話す。

関西大学社会安全学部の元吉忠寛准教授は
「防災キャンプは、真っ暗な場所で寝るなど
不自由な生活を体験し、
子どもに自信を付けさせるいい機会だ」と話す。
「今はオール電化も普及しており、
火を付けたことがない子もいる。
緊迫感を追求するよりも、
楽しみながら継続的に行うことが大切」と指摘する。
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