[大阪のカタチー新区長が語る]「保育ママ」普及後押し


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――就任から半月が過ぎた。取り組んだことは。

「地域団体や商工会議所に所属する人、
小中学校長ら区内の様々な人に会い、
私に何をしてもらいたいか、聞くことから始めた。
9月いっぱいかかりそうだ。
約140人いる区職員を20人ずつに分けて会い、
区長に応募した理由を話し、気になっていることを聞いた。
職員にはアンケート調査もし、200超の問題提起があった。
一つずつ、答えを考えているところだ」

――なぜ西区長に応募したのか。

「外資系企業で働いてきて、日本の国際競争力の低下を肌で感じた。
区長になれば自分で汗をかいて何かできるかもしれない。
3年前、区内の支店に転勤になり、しばらく住んだ。
国内外の約10か所で暮らしたが、職住が近接し、
地域の人との触れ合いもあり、一番住みやすかった。
好きな西区に貢献したかった」

――西区の課題は。

「マンションの増加で現役世代とその子どもが増え、
保育所の待機児童が今年4月で70人と、市内でワースト3位だ。
待機児童をゼロにするには新しい二つの認定保育園が必要だが、
一つしかめどが立っていない」

――どうするのか。

「市が今秋から始める、保育士らが自宅などで乳幼児を預かる
『保育ママ』制度をサポートしたい。
場所を確保できない場合、区役所内のスペースを紹介することも考える。
待機児童数には4月の後に転入、
誕生で増えた数や、潜在的な希望が含まれていない。
ゼロを目指すのでは不十分なので、
2014年頃にマイナスにするのを目標にする」

――他にも課題があるか。

「転入した現役世代には地域活動自体を知らない人もいる。
10年には区内のマンションで幼い姉弟が餓死した事件も起きた。
二度と起こさないためにも、新住民が地域とつながりを持てるようにする」

――橋下市長は、全区長に、24区を8~9程度に
再編する区割り案を11月までに作成するよう指示した。どう考えるか。

「まだわからない。人口や行政の効率化、歴史など、
どんな切り口があるのかを洗い出したい」

たかの・けん 1977年埼玉県生まれ。
2001年立教大卒業後、デンマークに本社を置く
外航海運大手「A.P.モラー・マースクAS」の東京支社に入社。
コペンハーゲンなどでの海外勤務を経て、
大阪支店長、東京支社カスタマーサービス本部長を務め、
今年7月退社。現在は西区で妻と2人暮らし。

◆マンション次々 人口急増

人口約8万6000人、面積5・2平方キロ・メートル。
明治期に外国人居留地が造成されて府庁や市役所が置かれ、
近代大阪の中心地として発展。
近年は高層マンションの建設が相次ぎ、
2010年国勢調査では、05年調査と比べた
人口増加率が中央区に次いで2番目に高い14・4%。
5年間で人口は1万人以上増えた。
65歳以上が人口に占める高齢化率は
15・1%と市内で最も低い。

区内北東部に靱(うつぼ)公園、南西部に
「京セラドーム大阪」がある。
南東部の堀江地区はカフェや衣料品店が並び、
若者らでにぎわう。

◆世代間の橋渡し必要

◆取材後記◆
 高野区長が重視する現役世代は毎日、
仕事や子育てに追われている。
地域活動に参加してもらうには、
地域のために時間を割きたいと思わせるだけの仕掛けが要るだろう。
歴史ある街を支えてきた世代との
橋渡しも求められる。(松永喜代文)
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