子どもの学習の場にも 尾鷲の駄菓子屋さん


中日新聞
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かつてはどこの地域にもあり、
子どもたちの気軽な遊び場だった駄菓子屋さん。
尾鷲市新田町の「北村酒店&駄菓子屋」は、
充実した品ぞろえに「店のおばちゃん」が優しく話し掛けてくれる、
昭和の雰囲気の店で、地元の子どもたちのほか、
市外からわざわざ訪れる家族連れも多い。

もともとは北村道彦さん(59)由紀江さん(57)夫婦が
営む酒専門店だったが、二〇〇五年一月に衣替えし、
駄菓子屋を中心にした。

元保育士の由紀江さんは子どもを相手にした商売を
以前から考え、駄菓子を置いたコーナーを設けたこともあった。
しかし、賞味期限の管理の問題などからうまくいかず、
二人の子どもが独立したのを機に本格的に取り組むことにした。

心掛けたのは、できるだけ多くの商品を新鮮な状態で並べること。
小さな子どもたちが好むくじで当たる商品は、
クレーンゲームやガチャガチャのおもちゃを
買って取り入れるなど種類を増やし、
商品の陳列台を低くするなど、徹底して子ども目線を心掛けた。

子どもたちに買い物の方法と楽しみを覚えてもらおうと、
小さなバスケットを置き、自由に買ってもらう。
十~三十円の菓子を多くし、
計算しやすいように消費税は取らない。
「あと何個買えるかな」と由紀江さんがアドバイスすることもあり、
小学校低学年の体験学習でも毎年利用されている。

訪れる子どもたちには、あいさつや
正しい言葉遣いなどを指導し、
常連の子の悩み事の相談にも乗る。
一方で、万引や乱暴な行為をした子は、
謝りに来るまで出入り禁止にすることも。

「いい店は宣伝しなくても客が集まる」という
道彦さんの信念で宣伝は一切しないが、
口コミで評判が広がり、客は紀北町から新宮市までと幅広い。
四人の子どもを連れて訪れていた
尾鷲市内の主婦(34)は
「お金の使い方の練習になるので最近よく来ます」、
保育園児のころから通う尾鷲小六年男児(12)は
「昔はくじが楽しみでよくやった。
こんな店がもっとあるといいと思う」と話す。

由紀江さんは「子どもは飽きやすいので、
常に新しい物を取り入れるように心掛けています。
子どもたちには、買い物や会話を通じて
社会性を身に付けてほしい」と、子どもに優しく語り掛けている。
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