小金井の保育料値上がり 父母ら「便乗」と反発


東京新聞
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 昨年行われた所得税の年少扶養控除廃止に対し、
税額に連動する保育料を抑制する措置を小金井市が取らず、
本年度から値上がりした父母らが反発している。
厚生労働省が負担を増やさないよう求めて通知し、
大半の自治体が対応したが、
市は従来の保育料が低水準であることを
理由に対応しなかった。 (梅村武史)

 小金井市では保育園児のいる世帯の64%に当たる
四百九世帯が値上がりとなり、
市は年間四千万円余りの増収を見込む。
値上がりの見直しを求める陳情書が
二千七百十人分の署名を添えて提出され、
九月定例市議会で採択された。

 しかし、稲葉孝彦市長は一般質問にこたえて
「一九九九年度以来、保育料が変わっておらず、
多摩地域で最も低い水準。
市財政を考慮した。陳情だけが市民の声じゃない」と述べ、
見直す考えがないことを強調した。

 保育料改定は本来、審議会などの答申や
議会審議を経て条例を改正する。
「便乗では」と追及された稲葉市長は
「市として保育料をいじったつもりはない。
税制が変わっただけ」とかわした。

 市側が議会で説明したモデル世帯の例では、
夫婦の年収各三百万円の共働き世帯で、
子ども一人目が月額七千円、二人目が四千九百円増。
収入の少ない世帯ほど値上がり幅が大きかった。
世帯別で最も値上がり幅が大きかった
四十二万円以上四十八万円未満は三世帯。
続いて三十六万円以上四十二万円未満が五世帯、
三十万円以上三十六万円未満は三世帯だった。

 陳情代表者の一人、足立紀子さん(37)は
値上がり幅が最も大きい世帯に入った。
通園する三歳の双子に加えて小中学生の
計四子を育てており、控除廃止の影響が大きく、
保育料は年間約四十四万円の値上がり。
「市は子育て世代の厳しい現状を直視してほしい」と憤る。

 厚労省の通知は昨年七月、
旧税額に基づいて保育料を計算し、
控除廃止の影響をできるだけ生じさせないよう求めた。
保育課の担当者は「現在はほとんどの自治体で
対応してもらっている」という。

 四児の母で保育問題に詳しいジャーナリストの
猪熊弘子・東京都市大学客員准教授は
「全くの便乗値上げで、
子育て軽視の自治体と思われても仕方がない」と指摘する。

 多摩地区では、三鷹市も厚労省通知への対応を見送った。
八月下旬、市民五百人超の署名とともに要望書が出されたが、
三鷹市側は「増加する園の運営経費に
一定の負担を求めることにした」と回答した。
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