虐待防止へ高校生に育児講座 神奈川


朝日新聞
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児童虐待の早期発見や防止につなげるため、
神奈川県伊勢原市が今年初めて、
高校生を対象に寸劇などで赤ちゃんについての
理解を深める出前講座を実施し、
他の自治体担当者らに報告した。

7月の報告会に参加した県中央児童相談所の
浜田尚樹虐待対策支援課長は
「おむつ交換を体験させたり、泣き声を長時間、
聞かせたりと画期的な内容」と話す。
報告会には横浜市や川崎市など県内ばかりでなく
東京都内の自治体担当者も出席。
「具体的な取り組みの参考にしたい」などと感想を寄せた。

出前講座は3月、県立伊志田高校(伊勢原市)の
1年生(当時)約270人を対象に実施された。
予期せぬ妊娠をした20代前半の男女が
主人公の寸劇が中心。
結婚した2人の子育ての苦労と喜びの両面を描く。

寸劇の合間には、1分間赤ちゃんの泣き声を聞かせ、
米国で作られたDVDも使って、
虐待となる乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)について説明した。

10キロの妊婦スーツを着て洗濯物を干す体験や、
新生児を想定した3キロの人形で
オムツ替えや赤ちゃんをあやす体験も。

終了後、生徒の感想を聞くと、
育児を「とても大変」と感じる人が講座前の
65%から93%に増えた。
「泣き声を1分間聞いたらいらいらした」
「虐待のニュースにあり得ないと思っていたが、
いらいらが募ればだれにでも起こりうると思った」
「子育ては夫婦だけでなく、
まわりの人に協力してもらうことが大切だと知った」
などの感想が寄せられた。

出前講座を企画したのは、
伊勢原市子育て支援課児童相談センターのメンバー。
同市は2009年から、市内の幼稚園や保育所、
小学校の教職員、民生委員などを対象に、
虐待を疑ったときの初期対応を紙芝居で
説明する講座などを実施してきた。

今回は高校生に飽きずに関心を持ってもらうために
寸劇や体験、クイズなどの工夫もしたという。
同センター職員で保育士の吉川まり子さんは
「将来の虐待防止につなげるため、
若いうちから子育ての大変さと楽しさを学んでほしかった。
機会があれば、ほかの高校でも
講座を開いていきたい」と話している。

報告会を主催した
NPO法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワークの
山田不二子理事長の話 国内では先駆的な取り組みだ。
親になる前に親になることの意味を教育し、
児童虐待の予防につなげようと思いついた点に意義がある。
ただ、米国などでは、性教育にからめて
親になる心構えをティーンエージャーに
教育するのが当たり前で、
この取り組みもいずれはスタンダードになると思う。(斎藤博美)
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