[Bingo現場から]地域ぐるみ 保育所守れ


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  福山市加茂町北山の標高約400メートルの
山あいにある広瀬地区。
過疎に悩み、少子化で休止の危機にある
地元の市立広瀬保育所を守ろうと、
地区の全世帯が参加する「広瀬学区教育後援会」は、
地区外から子どもを通わせる家庭に助成金を出すことを決めた。
住民は、資金を捻出するために、
家庭菜園で作った野菜などを持ち寄って販売するなど、
懸命に取り組んでいる。(佐藤行彦)

 「ねえ見て見て。大きなトンボ捕まえたよ」「本当だ、すごい」。
広瀬保育所の園庭で、虫をつかまえたり
遊具で遊んだりする子どもたちの元気な声が響いた。
傍らで見守っていた後援会の朝山栄事務局長(56)が
穏やかにほほ笑む。
「この子どもの声がわしらを元気にするんよ」

 地区の人口は約250人。
市街地までは車で約20分かかり、若者の流出が進む。
唯一の保育所には、1980年代には15人前後が通ったが、
現在の園児は4人。
来春は1人が小学校に進み、1人が入所予定。
その後は入所が途切れ、再来年には子どもは2人になる。

 1991年、保育所の子どもの数が6人となり、
市から5人を下回れば休所も検討すると連絡を受けた。
「子どもがいなくなれば地区全体が寂れてしまう」。
危機感を覚えた住民は、同後援会を92年に発足させた。

 会はこの年、「空き家バンク制度」を創設、
区外の若い家族に空き家を低額で貸し出した。
今も7軒すべてが埋まり、20年間で
延べ約20世帯約90人が利用、子どもの数も回復した。
しかし子どもたちは進学し、小さな子どもの数が再び減り始め、
住民からは「保育所は大丈夫なの」と不安の声が上がった。

 そこで後援会は昨年、地区の外から
保育所に子どもを通わせる家族を対象にした
助成金の設置を決めた。
3家族分用意し、子どもを保育所に通わせている間、
1家族につき毎月1万円(上限3年間)を
生活支援金として支給する。

 資金をつくるため、会員は栽培した野菜や
手作りの木工細工などを夏祭りに出品し、売上金を貯蓄。
年3回実施される地区内の市グラウンドゴルフ場の
芝刈りも地区総出で行い、市からの受託費を積み立てた。
1年間で計約70万円をためた。

 自宅近くの畑で育てたユリネやナスなどの
野菜を提供した農業三島教志(のりゆき)さん(75)は
「子どもは地域の宝。何とかして広瀬を
元気にしたい思いは住民みんなが同じ」と話す。

 後援会は助成金の希望者を随時受け付けている。
「広瀬は自然も豊かで人も温かく
子どもをのびのび育てることができる」と利用を呼びかけている。
問い合わせは平日午前8時25分~午後4時55分、
市立広瀬中内の同事務局(084・972・2210)。
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