里親増加 官民後押し 福岡市、伸び率 全国1位


朝日新聞
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虐待などで親と暮らせない子どもを
家庭のぬくもりの中で育てる里親制度。
日本は「施設大国」といわれ、
里親のなり手が少ないのが現実だが、
福岡市では着実に増え続けている。
その伸び率は全国1位。
市民の力を巻き込みながら里親を増やし、
そして支えようという試みをみた。

福岡市の「市こども総合相談センター・えがお館」で
7月、「里親サロン」が開かれた。
里親と里親に関心のある市民が、茶菓を囲みながら、
悩みなどを時に赤裸々に語り合う。
この日は長崎県や佐賀県からの参加者も交え、
20人近くが集まった。

女の子を育てている女性は
「たたいたり、つねったりされると、
(愛情を確かめる)お試し行動と分かっていてもつらい」と打ち明けた。
「そうそう」「一時だと分かっていてもねえ」と
参加者がうなずくと、ほっとした表情をみせた。

市里親会の天久真理会長(62)は
「厳しい環境で育ってきた子どもたちだから、色々ある。
そう分かっていても健全に対応できない時があり、
話し合える場はとても大切。
仲間とともに子育てしているよう」と話す。
その上で、「子どものかわいさ、
自慢話ももちろんできます」と笑う。

サロンは年10回、開かれる。
運営するのはNPO法人「子どもNPOセンター福岡」(中央区)。
市とともに「里親養育支援共働事業」を展開する。

福岡市の場合、社会的な養護を必要とする
18歳未満のうち里親のもとで育つ
子どもの率を示す里親委託率は04年度で6・9%、
委託されている子どもの数は27人で、
全国平均以下だった。
一方、県内の児童養護施設は満杯で、
県外の施設に入所せざるをえない子どもも。
新施設の建設は難しく、
市は、子どもの育ちの観点からも、
子どもが家庭のぬくもりを感じられる
里親を増やす方向に方針転換した。

求めたのが、市民の力だ。
05年度、「子どもNPOセンター福岡」と
推進事業に着手した。

同NPOは初年度から、
里親の必要性を訴えるフォーラムを開くなど、
積極的に活動。
里親制度についての出前講座も開いた。
里親に関心を示す市民は少しずつ増え、
最初の1年で13世帯が里親登録した。
一方、市では人員配置を手厚くし、
里親を担当する職員もおいた。
今年度は5人態勢で里親を支援する。

官民が協力するこうした取り組みの結果、
同市の里親委託率は、
10年度末に全国平均(12%)の2倍の24・8%、105人に。
伸び率は児童相談所を置く全国の自治体でトップとなった。
11年度末は27・9%、115人と更に伸びた。
里親登録も04年度の43世帯から、
11年度末で98世帯まで増え、現在は百世帯を超える。

市こども支援課によると、親と子の相性もあり、
里親は、必要とする子の3倍の数が必要。
同課の瀬里徳子課長は
「まだ、里親の認知度が高いとはいえない。
短期の養育なら大丈夫という市民や、
『何かしたい』と考えている市民らに、
今後も根気よく必要性を訴えていきたい」と話す。(山下知子)
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