駅近満員 遠くは「空きあり」 一時預かり駅と全認可園結ぶ 送迎保育ステーション脚光


東京新聞
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 働くパパ、ママに深刻な保育園の待機児童問題。
ところが、どこも満員かといえば、駅近が人気で、
離れると「空きあり」という濃淡がある。
その解決策として注目されるのが「送迎保育ステーション」。
駅近の施設で園児を一時預かり、
各保育所にバス送迎する試みだ。
全国的にも先進的な千葉県流山市の取り組みを取材した。
 (宮本直子)

 秋葉原駅からつくばエクスプレス(TX)で
約三十分の流山おおたかの森駅。
午後五時前、駅に直結した駅ビル地下の駐車場に、
保育園児を乗せたバスが戻ってきた。

 「ただいま!」。昼間は別々の園で過ごす園児たちだが、
出迎えの保育士に元気にあいさつすると、
慣れた足取りで上階のステーションへ。
絵本を読んだり、ブロックで遊んだり、
親が迎えに来るまで、思い思いの時間を過ごしていた。

 朝も、親はステーションに子どもを送った後、そのまま駅へ。
次男(4つ)が利用している会社員の蔵田麻利子さん(36)は
「定員に空きがあった園は駅からも自宅からも遠かった。
ステーションがなかったら入園は難しかった」と話す。

 親が保育園とコミュニケーションを取りにくい面はあるが、
利用者は「連絡帳で密に意思疎通」
「週に一回は園に足を運ぶ」など工夫。
逆に「息子はバスの中での歌や手遊びが大好き」
「違う保育園の子とも仲良くなれる」とメリットをあげる利用者が多い。


 流山市が保育ステーション事業を始めたのは二〇〇七年。
〇五年のTX開業で、都心からのアクセスが良くなり、
駅前には大規模マンションが立ち並ぶように。
三十代を中心とした子育て世代の流入が増え、
市は「共働き夫婦が住みやすい街にすれば、
もっと流入が見込める」と保育所新設とともに、
送迎保育ステーション事業に力を入れてきた。

 ステーションは公設民営。
市が開設し、運営は社会福祉法人「高砂福祉会」に委託している。
市内二十二の認可保育所全てへ送迎できる。
利用できるのは一歳以上の歩ける園児で、費用は一日百円。
希望者には夕方六時以降の延長保育や
夕食を有料で提供し、午後十時まで預かってくれる。

 利用者は増え、〇八年にはTX南流山駅にもステーションを開設した。

 同市では人口流入が多く、保育園の定員を増やしても、
すぐに埋まってしまう状態が続いているが、
同市子ども家庭部の宮島芳行部次長は
「保育園の新設とステーション機能の
充実の両面で今後も動いていきたい」と話す。

 同様のステーションは、横浜市や埼玉県熊谷市などにもある。
埼玉県子育て支援課の担当者は
「現在県内の八市で実施。
今後も活用自治体を増やしたい」と話している。

 保育問題に詳しい第一生命経済研究所主席研究員の
松田茂樹さんは「交通の便の良しあしで、
どうしても園の人気に差が出る。
送迎保育ステーションの活用は、
そのアンバランスを解消する策として有効。
既存の園の活用は、新設よりもスピード、
コストの両面で優れている」と話す。
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