【そもそも講座】待機児童に定義がある? 30分圏は登園可と判断 企業の支援拡充に期待


西日本新聞
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 ●待機児童に定義がある?

 社会保障と税の一体改革で、
子育て支援は最優先項目の一つです。
中でも保育所の待機児童解消が課題とされます。
認可保育所に入れない子は全て待機児童なのですか。
何か条件があるのですか。

 ●30分圏は登園可と判断 企業の支援拡充に期待

 -長女は認可保育所が空いておらず、
認可外保育施設に通っています。
でも、私たち家族が暮らす自治体の待機児童数は
「0」と発表されています。

 「『希望する保育所に入れない』というだけでは
待機児童になりません。
国の基準では『通常の交通手段で20~30分未満の
範囲に空いている保育所がない』といった場合などに
待機児童として数えられます」

 -通勤途中にある保育所を希望したのに、いっぱいでした。
行政から案内された自宅に近い
別の保育所は勤務先とは逆方向だし…。
日々の送迎を考えると負担になりそうで通えませんでした。

 「そのケースは待機児童にカウントされません。
30分未満の圏内に空きがあるのに、
利便性や保育所の教育方針など
保護者の都合で選んでいるとみなされるからです」

 -ということは、待機児童以外にも
認可保育所の空きを待っている人はたくさんいるのですね。

 「九州各県の県庁所在地の待機児童数(今年の4月1日時点)は
計1300人ほどですが、保育所の申し込みを出して
入所していない子は、ほかに3千人ほどいます。
ただ、この数には育児休業中の人が
早めに申し込んでいる場合なども含まれています」

 -そもそも「通常の交通手段」って何ですか。

 「地域によって交通事情が違うので、
解釈は自治体に委ねられています。
都市部では徒歩や自転車、車通勤が一般的な地域だと車です。
車が多い地域でも徒歩で通勤する人がいるので、
申し込みの際に利用する交通手段を
確認している自治体もあります」

 -「車で30分」なんて、かなり遠くまで行くことになりますよね。

 「忙しい朝の時間に30分かけて保育所に
連れて行くというのは現実的ではないかもしれません。
保育所の送迎にかけられる時間は
せいぜい10分前後という声もあります」

 -待機児童にカウントされなかったら
何か不利なことがありますか。

 「認可外保育施設の利用者へ補助がある場合、
待機児童であることが前提のケースが多いので、
待機児童でないと受けられない可能性がありますよ」

 -都市部の駅近くの保育所はなかなか空きがありません。
共働き世帯には厳しい状況ですね。

 「現状では劇的に認可保育所が増えることはないでしょう。
企業は保育所への送迎に30分ほどかかる
家庭もあることを理解し、
短時間勤務や始業・終業時刻の繰り上げ、繰り下げなど、
育児と両立できる制度の浸透を図ることが求められます。
登録会員間で子育てや介護を助け合う自治体などの
『ファミリーサポートセンター』事業を活用し、
送迎を支援してもらうのも一つの方法です」

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 社会保障改革の行方が注目されます。
そもそも私たちの暮らしにはどんな課題があるのか、
社会保障はどう変わっていくのか。
Q&A形式の「そもそも講座」で分かりやすく解説していきます。
「くらし天気図」で随時掲載します。

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 ●メモ

 待機児童の数え方は2001年に現在のように変わりました。
家庭的保育事業(保育ママ)などが充実してきたことを受け、
自治体の保育事業を利用している場合や、
20~30分圏内に定員に空きがあるケースなどは
待機児童から除くようになったのです。
01年度(4月1日時点)に前年度に比べて
1万人以上も待機児童数が減っているのはこのためです。

 ただ、家庭的保育室を利用していても園庭がある
認可保育所に移りたい、と考えている保護者も多いのが現状です。
国の保育施策を考える基準となる待機児童数が
「実態を反映していない」と指摘する声もあります。
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