【沖縄県】[保育士の処遇]働き評価する仕組みに


沖縄タイムス
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 「社会保障と税の一体改革」によって
新しい子育て支援法が成立するなど、
保育制度は今、時代の分岐点にさしかかっている。

 保育施設を利用する側から語られることの多い、
この問題を、保育士の処遇といった観点からアプローチすると、
制度のゆがみがよく見える。

 本紙が実施したアンケートで、
県内の公立・私立の認可保育園で働く常勤保育士のうち、
半数が非正規雇用であることが分かった。

 非正規保育士の年収の平均は約195万円。
雇用期間も、1年契約や半年更新という不安定さが目立ち、
厳しい労働環境が浮き彫りになった。

 加えて、県内には保育士資格を持つ人材が
約1万6千人いるにもかかわらず、
実際に保育現場で働いているのは、
その半数という“潜在保育士”の問題も明らかになった。

 専門的な資格がありながら、
給与面など待遇の問題から
一般企業に就職している人が多数いるという。

 だからといって、正規で働く保育士の給与が高いわけではない。

 2011年の厚生労働省調査によると、
保育士の平均月収は22万円ちょっとで、
全職種の平均より10万円も低い。
勤続年数も平均8・4年と、全職種に比べ3年以上も短かった。

 女性が子育てしながら働ける環境を整えようと、
保育サービスの拡充が図られてきた。
それなのに保育の担い手である保育士たちが、
仕事を続けることが困難な状況にあるのは大きな矛盾だ。

   ■    ■

 保育士の給与の低さは、保育所の運営費算定の基準となる、
国の「保育単価」に起因する。

 普通、賃金は年齢やキャリアを重ねるとアップしていくが、
保育単価における保育士の年齢設定は20~25歳と若い。
女性は結婚したら仕事を辞めるという
古い価値観に縛られたいびつな制度設計なのだ。

 保育単価が保育士の年齢を考慮していないため、
ベテランが多ければ多いほど保育所の経営は苦しくなる。
結果として賃金の低い非正規を増やし、
バランスをとらざるを得ない。

 さらに待機児童を解消するため
定員を超えて入園を認める「弾力運用」など、
この間の政府の規制緩和策も非正規雇用を誘発してきた。

 保育の「量」を優先するあまり、
「質」の問題を置き去りにしてきたのだ。

   ■    ■

 子育て支援法による新施策に、
政府は年間1兆円の財源を投入するという。
そのうち7千億円は消費税増税によりまかなうが、
残り3千億円のメドはついていない。
支援策の詳細な詰めもこれから。

 本紙のアンケートに「子どもたちのために
働きたいと理想をもって保育士になった先輩たちが、
収入が低いために次々と辞めていった」と
嘆く若い男性保育士の声があった。

 どのような人がどのような熱意と理念をもって
保育にあたるのか、それが保育の質を決める。

 保育士が希望をもって働ける制度の編み直しが必要だ。
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