【子どもの自殺】非常事態にどう向き合う


高知新聞
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ショッキングな数字だ。
文部科学省の調査で、2011年度に自殺した
小中高校生が25年ぶりに200人に達した。
少子化で子ども全体の数は減っているだけに、
「非常事態」と捉えるべきだ。
「子どもたちの世界で何が起きているのか」
に大人たちは真剣に向き合う必要がある。
調査対象は05年度まで公立学校だけだったが、
06年度から国私立学校も加わっている。
それでも、自殺は06年度以降
130人台から170人台で推移してきた。
11年度は前年度からの増え方も28%(44人)増と急だ。 
 背景の詳しい分析が求められるが、
理由(複数回答)が分かっているのは
「父母の叱責(しっせき)」(24人)や「進路問題」(20人)、
「いじめ」(4人)など半数に満たない。
多くは「不明」とされている。
「特定できなかった」というケースもあろうが、
失われた一人一人の命の重さを思えば、
このままうやむやにすべきではない。
とりわけ慎重な分析が求められるのがいじめとの因果関係だ。
全国の小中高校などが把握した11年度の件数は、
06年度以降で最少とはいえ7万件を超えている。
いじめとみなされないよう「けんか」や「遊び」を装ったり、
携帯電話やインターネットを使い、
悪口や個人攻撃を拡散させるなど、
手口はますます陰湿かつ巧妙になっている。
以前より把握が難しい現状があるだけに、
潜在的な被害は相当広がっているに違いない。
自殺の理由が「不明」とされたケースにも、
いじめが絡んでいる可能性は高いのではないか。
学校現場には最近のいじめの手口を研究するなど
把握に向けた一層の努力が求められるが、
気になるのは都道府県によって姿勢に違いがあることだ。
児童生徒千人当たりの件数では、
同じ九州の熊本と佐賀で54倍もの差がある。
いじめの実態自体にこれほどの地域差があるとは考えにくい。
大津市の中2男子の自殺などを受けて、
文科省も国としていじめ問題に積極的に関わっていくよう
従来の方針を大きく転換させている。
いじめの早期発見に向けた対策も強化されるが、
取り組みを通し、子どものあらゆるSOSへの
敏感さにつながっていくことが望ましい。
子どもの世界の実態を知る努力が
大人たちに強く求められている。 
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