いじめ…逃げてもいいよ 子どもの不登校・自殺 増える2学期


中日新聞
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長い夏休みが終わり、二学期が始まった。
集団行動が多くなる二学期は、いじめや不登校が
増えやすいといわれている。
大津市のいじめ自殺事件が注目を集める中、
どうすればそうした問題を防げるのか。
 (砂本紅年、細川暁子)

「いじめがつらかったら、
学校を休んでもいいということを言ってほしい」。
先週、いじめなどが原因で不登校を経験した
十八~二十歳までの六人が、
平野博文文部科学相に面会して訴えた。

六人は、東京都や千葉県のフリースクール
「東京シューレ」に通う若者や卒業生。
それぞれの体験を交えながら
「先生から『早く学校に戻った方がいい』
と言われるのがつらかった」
「いじめを受けている時は自殺か
無理に学校に行くかの二つの選択肢しかなかった。
フリースクールなどがあることも伝えて」などと話した。

東京シューレの奥地圭子代表は
「毎年、夏休み明けは子どもの自殺が起こる。
『いじめから逃げていい』『学校を休んでいい』と伝えて」と強調。
平野文科相は「命を守らずして
何を守るかという気持ちは強い」と
自殺防止の体制づくりを約束した。

平野文科相に面会した一人の氏家優希さん(18)は、
「二学期はクラスにグループができる。
いじめる側は弱い人間を見つけ、
ターゲットを決める時期」と話す。
こうした実態を、識者はどうとらえているのか。

愛知教育大の折出健二副学長は、
「二学期は運動会など、行事が相次ぐ学期。
集団への帰属やクラスのまとまりが強調される。
どの子もスタート時は、緊張や不安があることを
保護者は理解してほしい」。

ただ、子どもに「大丈夫?」「嫌がらせはない?」など
根ほり葉ほり聞くのは逆効果という。
「しっかりしないと」「やり返すぐらいの
強い気持ちを持って」などの言葉もかえってマイナス。

運動会などの話を聞こうとして、
「関係ないだろ」といった、反応を示すようであれば、
何か抱え込んでいる可能性がある。

そんな時は、「『何かあれば、いつでも聞くから』と、
守り手として親がいるという信頼関係を
つくっておくことが一番大事。
早めに担任に相談することも必要」と言う。

ただし、親子関係も単純ではない。
岐阜大医学部精神神経科の高岡健准教授は
「子どもが『学校に行きたくない』と言えるのは、
親子関係がしっかりしている証拠」と話す。

そんな親子関係を築くには、
「親が家に子どもの居場所を作り、
安心感を与えることが必要」と言う。
「何があっても子どもを責めないことが大切。
親子で家にいると煮詰まることもあるので、
親がサークル活動などに出掛ける方が
子どもが落ち着く場合もある」

いずれにしても、不登校の原因は
かなりの確率でいじめが関与している可能性が高い。
「不登校は子どもが自分の身を守るための権利。
学校が子どもに合っていないのであって、
親が無理に合わせようとすべきでない」と
高岡准教授は強調した。
◆不登校11万人超

文科省の学校基本調査(速報)によると、
昨年度の小中学生の不登校児童・生徒数は
全国で11万7458人と前年度比2%減。
ただし小学生に限ると2万2622人と
前年度に比べて0.7%増えている。
ピークは2001年度の13万8733人。
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