児童養護施設出身者の就労支援へ 会社社長が講演


神戸新聞
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 児童養護施設で育った若者の自立や
就労を支援する動きが広がりつつある。
住み込みの仕事と高卒求人の減少など
多くの子どもが苦境に立たされる中、どんな支援が必要なのか。
大阪府豊中市で始まった自立支援を考える
連続研修会の初回では、施設出身の若者に
仕事を紹介するベンチャー「フェアスタート」(横浜市)の
永岡鉄平社長(31)が講演した。(津谷治英)

 永岡さんは求人専門誌の広告営業などを通じ、
児童養護施設の現状を知った。
施設でボランティアも経験し、昨年8月に同社を設立。
これまで20人の就職を世話し、13人が仕事を続けている。

 「家族から十分な支援を受けられない彼らは、
『生きていくために働くのが当たり前』という感覚が
自然と身についていた。企業にとって魅力的な存在」

 施設の子どもたちは原則18歳で出なければならない。
住み込みの仕事を優先してやりたい仕事を断念する若者。
就職しても辞めてしまい正社員が遠のいてしまう若者。
2011年の東京都の調査では、
退所後の男性4割、女性6割が非正規雇用だった。

 「就職と同時に生活費の負担がのしかかる。
厳しい生活の中、誰にも悩みを相談できず、孤立感を深めている」

 関東を中心に児童養護など34施設と連携し、
小学生のうちから企業見学などを通じて、
「働く」ことを考える機会を提供している。

 「希望する仕事に就けるチャンスを用意してあげることで、
不本意な就労が減る。その後の人生の充実にもつながる」

 就職後も食事会などを開き、若者の話に耳を傾ける。
製造業に就職したある女性は「仕事量が多い」と悩みを漏らした。

 「上司の期待もあったと思うが、入社間もない時期で
1人で抱え込んでいた。『直接上司に言ってみよう』
と励ましたところ、乗り切ってくれた。
就職して3カ月以内が一つのヤマ場だ」

 自立援助ホームが神戸市垂水区に設けられるなど、
施設を出た若者への支援に、
ようやく社会の目が向けられている。

 「私は福祉の専門家ではない。
人材発掘の専門家として支援したい。
彼らの働く意欲を生かせないのは、社会にとってもったいない。
彼らと若い人材を求める中小企業をつないでいきたい」

      ◇

 次回の研修会は19日午後1時半、
豊中市庄内東町の市パーソナル・サポートセンター。
神戸市垂水区の「神戸少年の町」施設長の野口啓示さんと
同施設出身の関学大3回生の畑山麗衣さんが
「児童養護施設で育つ子どもたちの暮らしと進路」
をテーマに話す。無料。同センターTEL06・4866・5640
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