天童の乳児死亡:損賠訴訟 元園長と保育士、証言大きく食い違い うつぶせ寝指導巡り /山形

毎日jp
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 天童市の認可外保育施設「みんなのベビーホーム」(既に閉鎖)で
07年11月、生後4カ月の女児がうつぶせ寝の状態で
死亡した問題で、遺族3人が元園長と女性保育士2人、
市、県を相手取り損害賠償など計4600万円を求めた
訴訟の口答弁論が23日、山形地裁(石垣陽介裁判長)で開かれ、
元園長と保育士2人への本人尋問が行われた。
3人は事故当時の状況や保育施設の運営状況について述べたが、
証言は食い違う場面が多かった。【前田洋平、鈴木健太】

 原告側は、女児をうつぶせ寝にしたまま
放置したことが死につながったと主張している。

 証言は当時の女児への対応が中心。
先にみていた女性保育士は「午前9時ごろに
園で引き取った時から激しく泣き続けていたので、
うつぶせで寝させた」と認めたものの
「顔は横向きで息はできていた」と述べた。

 午後1時まで乳児室を担当したもう一人の保育士は
「うつぶせ寝のまま、ぐっすりと寝ていたので
起こさなかった」などと証言。
女児を預かってから4時間以上ミルクを与えず、
おむつも替えていなかった。

 うつぶせ寝の危険性について元園長は
「危険だとわかっていた。随時指導していた」と証言。
一方で先に女児をみていた保育士は
「指導を受けた記憶はない。
危険性について知らなかった」と証言が大きく食い違った。

 また元園長は、天童市から07年だけで3回、
保育士不足などの改善指導を受けていたことも証言。
女児が亡くなった当時は、40人以上の乳児、児童に対して
保育士は国の基準より少なかった。
哺乳瓶(ほにゅうびん)も人数分なく消毒して使い回していた。
元園長は「どんどん(預かる)子供が増えて
追いつかなかった」などと話した。
 ◇原告側、義務不履行を主張 市と県、監督指導怠る

 訴状によると、07年11月2日午後1時20分ごろ、
天童市の認可外保育施設「みんなのベビーホーム」の乳児室で、
生後4カ月の女児が、うつぶせ寝の状態で見つかり、
約2時間後に死亡が確認された。

 原告側は、保育士が女児をうつぶせで寝かせ、
その後も顔色や呼吸を細かく観察する義務を怠ったと指摘。
元園長に対しては、保育士を指導せず、
女児の異常に気づいた後も救急車を呼ぶ義務を怠ったとしている。
また天童市と県は施設の監督指導義務を怠ったとしている。

 ただ、死因は特定されていない。
原告側はうつぶせ寝による窒息死と主張。
元園長らは乳幼児突然死症候群(SIDS)で、
うつぶせ寝とは因果関係がないと主張している。
山形地検は11年3月業務上過失致死容疑で
書類送検された元園長と女性保育士の
計3人について「死因が特定できず
過失は問えない」として、容疑不十分で不起訴処分にした。

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 ◆施設側の主な証言
 ◇元園長「有資格者を信頼」

 −−うつぶせ寝が危険との認識について

 ◆元園長 施設開設前に研修に行き、
窒息死の危険があると認識していた。
有資格者の先生方を信頼していたので
うつぶせ寝にはしないと思っていた。

 ◆保育士A 危険の認識はなかった。
20年以上前に保育士の資格を取ったが、
これまでも講習などを通じ危険だと教わったことはない。
自分の子供を育てた時は
「頭の形が良くなる」などとむしろ推奨されていた。

 ◆保育士B 危険だと知っていた。
内臓が未発達の場合、胃の中の物が詰まり
呼吸困難の恐れがある。
しかし顔を横に向けていれば大丈夫だと思った。

 −−うつぶせ寝に関する元園長の指導について

 ◆元園長 随時指導していたが細かくはしていない。

 ◆保育士A 特に聞いたことはない。

 ◆保育士B 危険だという指導は随時あった。

 −−悠妃ちゃんをうつぶせ寝の状態にして
職員全員が大部屋で昼食し、
乳児室に保育担当者がいなかったことについて

 ◆元園長 「みんな眠りました」と
保育士Bが大部屋に入ってきたので昼食をとった。
私から呼び掛けてはいない。
今回のように乳児室が空になるのはあくまで異例。

 ◆保育士B 職員全員が大部屋で昼食を取るのは日常的。
女児が亡くなった当日も園長が昼食をしようと声をかけてきた。

 (※保育士A…先に悠妃ちゃんをみていて
昼食前に帰った保育士
▽保育士B…午後1時まで担当したもう一人の保育士)
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