保育所民営化 保護者に募る不安・・・かすみがうら市


YOMIURI ONLINE
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 かすみがうら市は、来年4月に市立さくら保育所を
民営化することを決め、事業者の募集を始めた。
建物を事業者(社会福祉法人)に無償貸与し、
管理・運営を任せる。
10月中に事業者を決める予定だが、
保護者からは「なぜ急ぐのか」
「保育の質は低下しないか」など不安の声が上がっている。
(原田この実)

 ◇1年延期したが

 「引き継ぎ期間が短い。子供の顔や性格を把握できるのか」
「事業者が破綻した場合は」――。
8月、市が開いた保護者説明会では、
意見や疑問が相次いだ。市は当初、
今年4月の移管を予定し、昨秋、保護者に通知したが、
反発を受けて1年延期を決めた。
だが、その後の説明はなく、保護者の不信感は募っている。

 さくら保育所は0~5歳児約190人、
保育士やバス運転手らスタッフ約40人を抱える
市立最大の保育所だ。
息子を預ける女性(36)は
「若手からベテランまで保育士がいて、
子供は家族のように慕っている。
親しい保育士がいなくなると不安。
子供のことを考えて進めて」と話す。

 ◇官から民へ

 市が民営化へかじを切ったのは、国が2004年以降、
公立保育所への運営費補助金を廃止したためだ。
市は05年から正職員の保育士の採用を止め、
退職者分は臨時職員で補っている。
さくら保育所など市立4か所を順次民営化することで、
公立だと子供1人あたり年間104万円(2010年度決算)かかる
運営経費を、私立の同80万円程度まで下げたい考えだ。

 市は、民営化によるメリットに延長保育や
一時保育など保育サービスの充実を挙げる。
基本保育料は私立、市立とも
市の基準で決めるため現行通りだ。

 ◇理解不十分

 父母会が8月に実施したアンケート(156世帯、回収率78%)では、
民営化時期について、「来年4月の開始は妥当」が39人、
「もう1年見送るべき」が42人、
「業者選定、引き継ぎ時期を含め
スケジュールを見直すべき」が23人と、
理解が十分に得られたとは言えない状況だ。

 しかし、市は計画通り9月から事業者の募集に踏み切った。
ある保護者(39)は「市は子供よりスケジュール第一。
行政の都合を押しつけては子育て支援といえない」と嘆く。

 石川真澄副市長は「ギリギリの日程になり申し訳ない」
と謝罪した上で、「ホームページなどで情報開示し、
保護者の不安を解消したい」としている。

 ◆丁寧な説明が重要 先例の取手市

 国の補助金が廃止され、財政難を理由に公立保育所の
運営を民間に移管・委託する自治体は全国で増えている。
県内でも、ここ数年でひたちなか市、
茨城町などで民営化に移行している。

 取手市は、11年春と12年春に計3か所を民営化した。
市子育て支援課によると、不安を抱く保護者が多く、
年6、7回説明会を開いた保育所もあった。
保護者の要望で、運営事業者、市との意見交換会を開いたり、
民営化後も、かつて働いていた保育士や
市職員が保育所を訪問したりしたという。

 民営化から半年後に行ったアンケートでは
「おおむね満足」の回答が多く、
民営化で可能となった延長保育や病児保育が好評だった。
同課は「保護者の立場に立った
丁寧な説明が必要と実感した」としている。
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