保育園庭2割削り増築 横浜市方針に反発も


YOMIURI ONLINE
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 待機児童を削減するため、保育園の保育室を増築するなら、
園児の遊ぶ園庭が狭くなっても仕方ない?――。
横浜市井土ヶ谷保育園(南区井土ヶ谷下町)で、
児童の受け入れ枠を増やすため、園庭の広さを2割減らして、
保育室などを増築する工事が始まった。
市は、林文子市長の掲げる
「来年4月までに待機児童ゼロ」の目標を達成するため、
工事に踏み切った。
だが、保護者からは「市の都合で園庭を狭くするなんて……」
と反発する声も上がる。(板垣茂良)

 市緊急保育対策室によると、井土ヶ谷保育園の
受け入れ枠は現在116人。
1階に0歳児の保育室と多目的ルームを増築する工事により、
定員は13人増える。
同対策室は「工事により、
1歳児と2歳児をまぜた1・5歳児の部屋を
新たに設けることができ、保育の充実につながる」と説明する。

 園庭は、地上部分と、建物の屋上部分に
計540平方メートルある。
しかし、増築工事により、地上部分は
380平方メートルから約23%減の290平方メートルに狭くなる。
屋上部分も、1階にある常設プールの代わりに導入する
移動式プールの保管場所を確保するため、
160平方メートルから約18%減の
130平方メートルになる。

 増築工事について、市と同園は
今年4月と10月、保護者を集めて説明会を開催。
園庭が狭くなる代わりに、園児を近隣公園に
遊びに連れて行く「園外保育」を充実させると説明し、
10月9日に工事を始めた。

 市の工事に反対し、4月の説明会以降、
市に再考を求めている男児(4)の母親は
「エネルギーの有り余る年齢の子どもたちが
十分に走り回れないのはストレスになる」と話す。
また、女児(2)の母親も「園庭を削らなくても、
マンションの一室で乳児を預かるなど、
対策はあるはず。待機児童ゼロを達成するための
数合わせで、在園児がしわ寄せを受けるのは
納得できない」と批判的だ。

 今年6月の市議会一般質問でも、増築工事について、
「狭い園庭に保育室を増やすと、
園庭に子どもたちが一斉に出た際、
ドッジボールや駆けっこなど、
思う存分動き回るスペースがない」と
疑問視する指摘が市議から出された。

 これに対し、市緊急保育対策室は、
同園は市営地下鉄蒔田駅から徒歩5分と
交通の便が良く、「現在の入所希望者が30人もいる」と説明。
そのうえで、「入所希望をかなえるのは重要。
土地を新たに購入する資金はなく、
限られた空間の中で増員を工夫するしかない」
と理解を求めている。

 【待機児童】 認可保育所への入所を
申し込みながら満員で入ることができない
0~5歳児の数。
2013年4月までに待機児童をゼロにする
目標を掲げる横浜市の今年4月1日現在の
待機児童数は、前年比で792人少ない179人。
計94園ある市立保育園では、
10年度から受け入れ数を増やす増築工事を始め、
最終年の今年度までに計745人の受け入れ枠が拡大する。
ただ、市が調査する待機児童数については、
今年度の調査から、保護者が在宅で
求職活動している児童213人は
「保護者が日中は自ら育児ができる状況にある」として、
待機児童数から省くなど、
数字と実態の乖離(かいり)も指摘されている。
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