染色体「交換」で予防 遺伝性難病のミトコンドリア病


日本経済新聞
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 【サンフランシスコ=共同】
全身の臓器の働きが損なわれる遺伝性の
難病ミトコンドリア病の女性の卵子から染色体を抜き出し、
他人から提供された卵子に移し替え、
子どもに病気が伝わるのを防ぐ方法を開発したと、
米オレゴン健康科学大の立花真仁研究員らが
25日付英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 卵子の細胞質に含まれる異常なミトコンドリアを
正常なものと“交換”する。
実際に使うには技術・倫理面の課題があるが、
立花研究員は「子どもに病気が伝わるのを恐れて
出産に踏み切れない女性の助けとなる可能性がある」と話している。

 立花研究員らは、米国内で21~32歳の健康な女性から同意を得て
106個の卵子の提供を受け、
うち64個に染色体を移し替える操作をし、受精させた。
受精卵になった44個のうち19個が
胚盤胞と呼ばれる段階まで成長した。
胚盤胞は母体に戻せば赤ちゃんになりうる状態。
ただ移し替えをしたうち半数で、
染色体の数が通常より多くなるなどの異常が起きた。

 アカゲザルの実験では、操作した卵子の
ほぼ全てで正常な受精卵ができ、
受精卵を母体に戻して生まれた5匹の子ザルは異常なく成長した。

 立花研究員は「人の卵子はサルよりこうした操作に敏感らしい。
手法を工夫する必要がある」としている。

 ミトコンドリアは卵子を通じ受精卵に伝わり、
ミトコンドリア遺伝子に異常があると
母親から子どもへの遺伝が懸念される。
母親に症状がなくても子どもが発症するほか、
病気の母親から健康な子どもが生まれるなど
予測が難しい面がある。
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