子ども悩み電話:相談員不足で届かぬSOS59万件


毎日jp
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 18歳以下の子どもの悩みに無料の電話で応じる
全国の「チャイルドライン」が、相談員不足に悩んでいる。
大津市の中学生が自殺した問題が浮上した7月以降、
いじめの相談件数が急増しているが、
全体で4分の1ほどしか応じられない状況という。
東日本大震災で被災した子どもたちからの電話も多く、
関係者は支援や協力を呼びかけている。

 広島市にあるビルの一室。
2台の電話機がほぼひっきりなしに鳴る。
「ものを盗んだと疑われている。
先生に訴えても取り合ってくれない」
「(いじめられて)転校したい」。
耳を傾けるのはボランティア相談員。
大学生や主婦、会社員ら約40人が
週5日、交代で対応しているが、
受けられるのは全体の3分の1ほど。
相談員たちは回線の混雑を知らせる
自動音声に落胆する子どもの表情を浮かべ、
いたたまれなくなるという。
運営するNPO法人「ひろしまチャイルドライン子どもステーション」の
上野和子理事長は、
「誰にも言えない悩みを打ち明けようとしてくれた子たちの声に
応えきれず、申し訳ない」と話す。

 各地の活動を取りまとめる
「チャイルドライン支援センター」(東京都)によると、
昨年度は約80万件の発信があったが、
着信できたのは約21万件(約25%)。
いじめに関する相談は今年7月の第2週が131件あり、
大津市の問題が大きく報じられた同月第1週と比べて
約1.5倍に急増した。
夏休み中は沈静化したが、8月下旬から再び増え始めた。

 被災地からも、津波被害でプールの水にも恐怖を感じたり、
原発事故の影響を不安がったりする子どもからの
相談が相次いでいる。
福島県では先月初めて郡山市内に拠点ができたこともあり、
県内からの発信と着信がともに
8月下旬からの約1カ月間で昨年度全体の数字を上回った。
郡山市の発足人の前田昭理事(69)は
「潜在的な需要が表面化した。震災から1年半が過ぎ、
ようやく言えることもあるのだろう」と推し量る。

 相談員になるには、複数回の養成講座(有料)を受けて
思春期の特性などを学ぶ必要がある。
相談はフリーダイヤル
(0120・99・7777、月〜土曜、午後4〜9時)。
無料通話の維持には全国で年約2000万円かかるといい、
支援センターなどは寄付も募っている。
寄付や養成講座受講の申し込みは
支援センター事務局(03・5312・1886)か
各地のチャイルドラインへ。【豊田将志】

 18歳以下の子どもを対象とする無料相談電話。
70年代に欧州で始まり、世界約150カ国で運営されている。
国内では98年に東京で開設され、
現在は香川を除く46都道府県で
NPOなど78団体が活動している。
相談内容はいじめや虐待だけでなく、
親子や友人関係、思春期の性の悩みなど多岐にわたる。
指示や説諭はせず、
子どもが安心して思いを話せることを重視する。
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