潜在待機児童にも目配りを


日本経済新聞
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 2012年4月1日時点の全国の待機児童数が
前年比731人減の2万4825人と2年連続で前年を下回った。
各自治体が保育所の整備に努めた成果は大きいが、
これでひと安心と子育て支援の取り組みが緩むようでは困る。

 厚生労働省が公表している「待機児童」は
国の基準を満たす認可保育所に入りたくて
申し込んだが満員で入れなかった子供のことだ。
最初から諦めて申し込まず、認可外の保育施設などを
利用する子供は含まれていない。
潜在待機児童は80万人以上と推定される。

 長引く不況で子供を預けて働かなければならない親は
増えており、都市部の保育所不足は依然として深刻だ。
重要なのは、子供が安全に過ごせる場所を整備し、
子供を預けられないために働けないでいる
親の就労を支えることだ。

 認可外の施設は、手厚い公的補助のある
認可保育所より利用料が高く、広さなどで見劣りしがちだ。
不利な立場の潜在待機児童も公的な支援を
公平に受けられる仕組みを一刻も早くつくるべきだ。

 その突破口になりうるのは、新たに設けられる
地域型保育給付制度だ。
今は定員が20人未満の少人数の子供を預かる保育施設は
「認可外」扱いだが、保育が必要な子供が
少人数制の施設などを利用する際、給付金が支給される。

 社会保障改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意で、
子育て支援関連に消費増税分から
7千億円を充てることになった。
国と自治体はこれを効率的に活用し、
保育所の量と質を最大限に向上させなければならない。

 企業の保育市場への参入を促す施策も不十分だ。
規制緩和から10年以上たった今でも、
認可保育所全体のうち企業が運営する施設は
約1%にすぎない。
保育所は圧倒的に足りない。
担い手として期待される企業の参入を
自治体が渋る裁量行政は見直されるべきだ。

 政策の迷走は、夫婦に子供を持つことをためらわせてしまう。
少子化に歯止めをかけなければ
日本経済が活力を失うことになる。
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