【九州】学童保育 質と量高める制度設計を


西日本新聞
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 共働きやひとり親家庭の小学生を、
放課後や長期休みに預かる放課後児童クラブ(学童保育)
の利用者が増えている。

 核家族化や働く女性の増加で学童保育のニーズは高い。
施設の整備は進んでいるが、需要に追いつかないのが実態だ。

 施設数が増えて受け入れ人数が拡大すれば、
待機児童は減るはずだが、
逆に児童を預けようと思う保護者が増えており、
「いたちごっこ」の様相を見せている。
学童保育に対する潜在的需要の大きさを
物語っているといえるだろう。

 厚生労働省の調査(今年5月1日現在)では、
施設数は前年と比べ500カ所以上増え、
利用児童数は過去最多の約85万2千人となった。
一方で待機児童も5年ぶりに増加し、7500人を超えた。

 潜在的な需要も含めると待機児童数は
50万人以上とする民間団体の推計もある。
確かな需要予測に基づき、着実に整備していきたい。

 学童保育は保護者の自主的な取り組みから始まり、
1997年に法制化された。
設置場所は小学校の空き教室や児童館、
公民館、民家などさまざまだ。

 現在の対象は「おおむね小学1年から3年まで」だが、
2015年度からは「小学生すべての児童」に拡大するとともに、
市町村が設備・運営の基準を条例で
定めることを義務付けられている。

 ただ、すでに小学4年生以上を受け入れている施設や、
独自に条例を制定している自治体も少なくない。

 実態を追認しただけという声もあるが、
先の国会で成立した改正児童福祉法で、
学童保育の在り方や自治体の関わりを
明確にしたことは評価できるだろう。

 その一方で課題も残されている。

 国はガイドラインで、規模は40人程度までが望ましく、
最大70人という見解を示している。
補助率に差をつけ70人以内になるように誘導しているが、
努力目標にすぎない。
このため、71人以上が通う「大規模施設」は
増えつつあるという。

 現状のまま、自治体に基準を任せると
地域間の格差が拡大することが懸念される。
現場の市町村から「40人以下など
具体的な最低基準を示してほしい」という
声が出ているのも理解できる。

 例えば北九州市は10年度までに
全小学校区に学童保育の施設を整備した。
学校側に必ず希望者数を確認し、
1施設で70人を超えることが見込まれる場合、
施設を増やしてきたという。
このため、1校区に3カ所ある地域もある。

 希望者数や保育時間など保護者の要望を把握し、
地域の事情に応じたきめ細かな
対策を講じることが必要なことは言うまでもない。

 同じ小学生でも、低学年と高学年では
発達段階などに応じた学童保育のニーズに違いがある。
また、障害がある子どもの受け入れも増え、
指導員の専門知識や経験も問われている。

 学童保育の質と量を高める制度設計を
しっかり進めなければならない。
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