病児保育、支援訴え 川満さん、母親目線で問題提起

琉球新報
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 5人の子どもを育てながら、
沖縄職業能力開発大学校(沖縄市)で建築を学ぶ
川満香理さん(39)=同市=が
「必要な時に必要な人がいつでも利用できる
病児保育施設」の設計を目指し卒業研究に取り組むなど奮闘している。
8月には沖縄市を中心に3事業所・5保育園で
子どもを持つ保護者を対象にアンケートを実施。
病児保育の周知が不十分なことや、
連日利用すると費用負担が大きいことなどが明確になった。
親が抱える課題と向き合いながら
「一人の母親として問題提起していきたい」と意気込んでいる。
 川満さん自身、2~19歳までの子ども5人を、
働きながら育ててきた。
子どもの病気で仕事を休む際、
男性上司から心ない言葉を言われたこともある。
「私は周りの助けもあり、
病児保育施設を利用したことはない」と話す一方
「沖縄には母子家庭など、
子どもが病気になった時に仕事を
休まなければならない人が多い」と日ごろから
病児保育の必要性を実感してきたという。
それが、今回の研究の動機となった。
 260人が答えたアンケートでは、仕事を持つ保護者のうち、
子どもの病気で休んだ経験があるのは82%で、
そのうち職場で「不都合があった」と回答したのは50%に上った。
中には解雇や嫌がらせを受けたとの事例も見られた。
 「病児保育を知っているか」との質問には
「知っている」との回答は39%にとどまった。
 川満さんは10日、同大学校で開かれた
卒業研究の中間発表会で、
国の「病児・病後児保育事業」に触れながら
「施設の実績に応じた国庫補助は
事業の継続が困難となる」などの問題点を指摘。
さらに「数日利用する場合、保護者の負担が増える。
子育てと仕事の両立に向けた支援にはならない」と訴えた。
 「問題を発信することで、行政も動いてくれるのではないか」
と期待する川満さんは卒業後、
県内の設計事務所への就職が決まっている。
「卒業研究を終えても、病児保育施設の設計は
建築家としてのテーマになる」と力強く抱負を語った。
(仲宗根祐希)

<用語>病児保育
 子どもが病気にかかった際、
保護者が就労しているなどの理由から、
自宅での保育が困難になった場合、
病院や保育所などで一時的に行う保育。
保育中に体調不良となった子どもへの緊急の対応や、
病気の子どもの自宅に訪問することもある。
病児保育施設には看護師や保健師らが配置されており、
川満香理さんの調べでは、県内は13施設ある。
うち医療機関併設型が11施設、
児童養護施設型が1施設、単独型が1施設。
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