待機児童ワースト1を脱却した横浜市の取り組みを取材しました。


FNNニュース
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認可保育所に入所を希望しながら、待たされる「待機児童」。
2012年4月の時点で、全国で2万5,000人近くにのぼります。
2009年の衆院選で、民主党が掲げたマニフェストには、
「保育所の待機児童を解消する」と盛り込まれていたが、
それ以降も高止まりしたままです。
こうした中、劇的に数を減らしたのが、
2010年に最も待機児童の多かった神奈川・横浜市。
「ワースト1脱却」の秘訣(ひけつ)を取材しました。

多くの子どもたちと母親たちでにぎわう、
横浜市にある子育て支援の施設。
無邪気に遊び回る子どもたちの一方で、
母親から聞こえてくるのは、子育てへの不安の声。
母親は「保育園、どこへ行っても今、待機児童とか多くて。
ママ友に聞いても、やっぱり預けるのが大変
という話をよく聞きます」と話した。
ここで、そんな母親たちの間を忙しく回っているのが、
「保育コンシェルジュ」と呼ばれる山内麻樹さん。
保育コンシェルジュの仕事は、働くことを考えて、
保育園など子どもの預け先で悩んでいる
母親たちの相談に乗ること。
山内さんは「(相談に乗るときに気をつけていること、
心がけていることは?)わたしも、実際に子どもがいて、
保育園入所に苦労した経験があるので。
一緒に相談に乗る、ママ友のような感覚で、
お話をするようにしています」と話した。
長引く不況の影響で、共働きの家庭が増え、
特に都市部で深刻化している待機児童問題。
横浜市は、2010年4月に、全国ワースト1の待機児童数を記録した。
そこで横浜市が、保育所の拡充とともに、
2011年から市内各区に導入したのが、「保育コンシェルジュ」。
その結果、2012年4月には、待機児童の数を
2010年の1,552人から、過去最少の179人へと劇的に減らした。
これまでは、市でくわしい情報提供ができていなかった
認可保育所以外の施設。
就学前の主な保育施設には、
部屋の面積や保育士の配置数など、
国の基準を満たした認可保育所以外にも、
自治体が独自に助成する保育施設や、
少人数の子どもを個人宅で預かる「保育ママ事業」などがある。
保育コンシェルジュの山内さんは、
これらの施設を定期的に訪問し、
空き状況や保育設備などの情報を細かくつかんでいる。
母親たちとの相談では、そうした情報をもとに、
通勤経路なども考慮しながら、
それぞれの家庭にあった最適の保育施設を勧める。
保育コンシェルジュに相談した母親は
「(話す前とあとは全然違う?)違いますね。
本当に幅広い知識を教えてくれる。
すごくありがたい存在です」と話した。
認可保育所に目を向けがちな保護者たち。
しかし、例えば、週3日以内のパートなら、
一時保育や幼稚園の預かり保育を利用することも、
選択肢の1つだという。
さらに、母親たちにはうれしい「アフターサービス」もある。
保育コンシェルジュの山内さんは
「毎月、保育園に入れなかった
お母さんのところに直接電話をして、
『今回は入れなかったが、ちょっと近くに、
こういった施設があるんですけど、いかがですか?』という形で、
お電話は差し上げています」と話した。
効果的な情報提供と、きめ細かい支援で、
待機児童の数を大きく減らした横浜市。
厚生労働省は、全国でも、早ければ2015年度から、
横浜市のコンシェルジュ事業などを
参考にした利用者支援の実施を予定している。
しかし、それだけでは待機児童対策には不十分だと、
市の担当者は指摘する。
横浜市緊急保育対策課の小林謙一課長は
「非常に今、短期間で離職をされるという保育士さんが、
かなりの数いらっしゃる。
毎年、いろいろな省庁に対して、
国の予算として何とか対応していただきたいような
部分については、個別に要望しているんですが」と話した。
民間の保育園で働く保育士の平均賃金は、
全業種平均よりも、およそ10万円も低く、
離職率を高める要因となっている。
また、大都市圏では賃料が高く、
認可保育所を増やすのが難しいという現状もある。
衆院選に向け、さまざまな公約を掲げ、
しのぎを削るそれぞれの政党。
はたして次の政権は、
実効性のある待機児童対策を打ち出していけるのか。
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