散髪交流10年 花束の笑顔 箱根の児童養護施設で毎月


東京新聞
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 家庭に事情がある子供たちが暮らす
神奈川県の施設に10年間毎月通い続け、
散髪のボランティアをしている東京の美容師たちがいる。
今月、思いがけず感謝の花束を受け取った。
子供たちの成長を楽しみに「これからも頑張りたい」と、
美容師たちは気持ちを新たにしている。
 (吉岡逸夫、写真も)

 「おせわになって10周年 ビショックさん ありがとう」

 今月二十日、いつもと同じように
東京都世田谷区の美容サロン「ビショック」から、
車で神奈川県箱根町の児童養護施設「箱根恵明学園」を
訪れた美容師たち五人は、感謝の言葉が書かれた
大きな模造紙に迎えられた。

 子供たちから元気な声でお礼と花束も。
突然の出来事に、「ビショック」オーナーの吉冨雄一さん(48)らは、
感激した表情で花束を受け取っていた。

 この後、学園に併設された小学校のホールにみんなで移動。
吉冨さんたちが持ってきた散髪用のイスや鏡が五つずつ設置され、
子供たちがちょこんと座る。
「大きくなったなあ。今日はどんなカットがいい?」
「男らしく切って」

 バリカンやドライヤーの音に混じって、楽しそうな会話が聞こえる。
学園には現在、三~十八歳の五十六人が在籍しているが、
希望すればだれでも散髪してもらえる。
中村伸二校長は「毎月毎月、本当に助かります。
子供たちも楽しみにしているようです」と目を細めた。

 吉冨さんはちょうど十年前の秋、
近所に住むボランティア団体「アーク 青い地球の子供たち」
(世田谷区)代表の北條友梨さんが、
箱根恵明学園を毎年訪れて子供たちを励ましていると聞き、
「何かできることがあれば手伝いたい」と申し出た。

 従業員らを連れて月一回、学園を訪ねるようになった吉冨さん。
最初はおとなしかった子供たちも、
美容師に慣れると散髪だけでなく、一緒に遊ぶようにもなった。
「就職が決まりました」と世田谷の美容サロンまで
お礼に来る子もいた。

 吉冨さんは「私が独立する時も周囲に支えられた。
恩返しのつもりでやってきたが、よく続いた。
これからも頑張りたい」と話している。
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