中学・保育所を内陸移転 首都圏で津波死者 千葉・旭市


東京新聞
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 東日本大震災の際、首都圏で津波による
多数の犠牲者が出た千葉県旭市の飯岡地区で、
海岸近くにある中学校と保育所を
内陸部に移転する計画が進んでいる。
九十九里浜に面した地区で、
津波から子どもを守ろうと震災後に計画がまとまった。
屋上に避難スペースを新たに設けるなど津波対策を強化し、
新施設は地域の防災拠点にも位置付けている。

 移転するのは、飯岡地区にある
飯岡中学校と三川(さんがわ)保育所、飯岡中央保育所。
九十九里浜一帯は高台がなく、
飯岡中は海岸線から二百メートル、
中央保育所は五百メートルしか離れていなかった。

 飯岡中は震災時、体育館や校舎一階が浸水した。
校舎は建設から四十年以上経過し、
老朽化で建て替え計画はあったが、
震災後は生徒の安全確保のため、
内陸部へ移転を求める声が保護者を中心に強まった。
市は昨年、海岸から約一キロ離れた地区の
中心部にある飯岡支所近くへ移転を決め、
用地となる農地の買い取りも決まった。

 津波は二つの保育所の近くにも迫ったことなどから、
市は昨年、飯岡支所の敷地内に
両保育所を移転・統合すると決めた。

 飯岡中の移転先の隣には、
今も仮設住宅暮らしが続く被災者向けの
復興住宅の建設も予定されている。
市企画政策課は「住民を津波被害から守るために
公共施設を内陸に集めた」と話す。

 飯岡地区の震災復興に取り組む
「飯岡まちおこし実行委員会」の磯野満徳代表は
「校舎が避難場所になれば、
子どもにも地域にも非常に助かる。
逃げ場所として学校は一番いい」と期待する。

 新たな飯岡中、二保育所を統合する
「飯岡統合保育所」(仮称)はいずれも
鉄筋コンクリート二階建てで、
高さ八~九メートルの屋上にスペースと外階段を設け、
津波の避難拠点とする。
計千五百人以上が収容可能で、中学は二〇一五年度、
保育所は一四年度開所を目指す。

 旭市の津波被害 専門家の調査では、
東日本大震災で旭市飯岡地区沿岸には
高さ7.6メートルの津波が到達した。
東側に隣接の銚子市は5~3メートルほどで、
九十九里浜沿岸でも突出して高かった。
千葉県内の震災の死者は20人だったが、
旭市はこのうち13人で、飯岡地区では
10人が津波で亡くなった(ほかに行方不明2人)。
飯岡地区の津波が高かったのは、
遠浅の海が沖に広がる海底の地形などが
要因とされている。
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