【宮崎県】早期発見へ問われる地域力


MIYANICHI PRESS
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 11月は児童虐待防止推進月間。
県は、この期間に合わせ横浜市の児童養護施設の
園長を招いての講演会を開催したほか、
テレビCMや県庁本館のライトアップなどを通し
啓発活動を展開している。

 児童虐待防止法の制定から12年。
関係機関の取り組みの成果は表れてきてはいるものの、
大きな改善にはまだまだ社会の関心が足りないとの指摘がある。
いかにして社会全体が児童虐待に対する認識を共有し、
防止に向けてネットワークを広げていくかが課題だ。

■増える住民の情報提供■

 県内3児童相談所(児相)の虐待対応件数は、
2007年まで200件前後で推移していたが、
08年に287件と急増。
09年365件、10年が過去最高の451件、
11年が410件となっている。
対応件数の増加は、住民から虐待の情報提供が
増えたことによるものだという。
地域の関心の高まりは歓迎すべきことだが、
その一方でまだ表に出ない虐待が
相当数あると見なければならないだろう。

 虐待に関しては児相のほか、
各市町村に置かれている学校や民生委員、
警察、医療機関などからなる
「要保護児童対策地域協議会」が早期発見・対応に尽力。
また、NPO法人「こども虐待防止みやざきの会」も、
電話やメールでの相談、親への支援など
多彩な取り組みをしている。

 児童虐待が行われている家庭では、
親が精神的に追い詰められているケースが少なくない。
親に手を差し伸べることも含め
「虐待を起こさせない」取り組みの強化を図るには、
行政だけでは限界がある。
虐待防止に向け、今まさに地域の力が問われている。

■察知しにくい性的虐待■

 本県の虐待の内訳は、
ネグレクト(育児放棄)が45・9%で最も多く、
次いで身体的虐待31・2%、心理的虐待20%、
性的虐待2・9%となっている。
割合としては少ないが、シグナルをとらえるという面で
難しいのが性的虐待だ。

 体のあざや傷などで分かる身体的虐待や、
子どもの着衣などから推察できるネグレクトなどと違い、
性的虐待は妊娠といった深刻な事態にまでならないと
表面化しにくいという特徴がある。
ただ、性的虐待を受けている子どもには
特有の行動もあるといい、大人が知識を深めることで
より早く事態を掌握することも可能という。

 性的虐待の事実確認には、聞き取りの正確さに加え、
子どもが話す際の心理的ダメージを
最小限に抑えることが求められる。
事実を確認するための研修としては、
リフカー(初期の聞き取り)やラタック(面接)と呼ばれるものがある。
本県ではこれまでにリフカーの研修を100人以上、
ラタックは30人が修了している。
リフカー研修受講者数は本県が全国でトップ、
ラタックは全国2位という。

 地域のネットワークの広がりに加えて、
こうした虐待防止の第一線に立つ
大人の専門性を高めていく取り組みも求められている。
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