ストップ!児童虐待 神戸の女性、体験公表


YOMIURI ONLINE
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 児童虐待が後を絶たない。
県内の児童相談所に寄せられる相談は年間2000件超にも。
大人から理不尽な仕打ちを受ける
子どもを減らすためには何が必要なのか。
児童虐待防止推進月間(11月)に、
幼少時に実父から性的虐待を受けた体験を実名で公表している
神戸市の元教諭川平那木(なぎ)さん(52)の話から考えたい。(浅野友美)

 川平さんは、教師だった父と、主婦の母、弟の4人家族で、
物心がつく前から中学生の頃までの10年近く、
父から性的虐待を受けた。
幼い頃は行為の意味が分からず、
ただ恐怖に襲われて身動きが取れなかった。
10代になると「なぜ自分の体を守れなかったのか」と自分を責め、
自傷行為に及んだこともある。

 阪神大震災の際、食料調達などのボランティアに励んでいた頃、
突如、ひどいうつ症状に見舞われ、
体を起こせないほどの苦痛が全身を襲った。
虐待を受けた場面がよみがえり、精神安定剤に頼る日々が続いた。

 しかし、同様の体験を受けた女性やカウンセラーら
信頼できる人たちとの出会いがきっかけで、次第に回復。
1999年に自助団体を設立し、
6年後には「自分の生き方を見直し、被害の現状を伝えたい」と、
手記「性虐待の父に育てられた少女(わたし) 蘇生への道」
(解放出版社)を出版した。

 川平さんはその間、2人の子をもうけたが、
生き生きと成長する子どもの姿を見ていると、
虐待を受けていた頃の自分と比べてしまい、
つらい日々を思い返すことが何度もあった。
でも、自分の育った家庭が閉鎖的で
隠し事が多かったことを顧みて、
子どもには何でもありのままに話すことを心がけてきた。

 行政や民間の支援は昔より手厚くなったが、
「対策はまだ不十分」と言う。
現在は、虐待や性暴力の被害者を24時間態勢で
サポートする全国初の民間支援窓口
「性暴力救援センター・大阪」の研修に通い、
支援スタッフの資格取得を目指す。
虐待に苦しみ、声を上げられない子どもたちに
寄り添いたいという思いからだ。

 川平さんは虐待にさいなまれ続け、
被害を打ち明けられるようになったのは
30代後半になってから。
だからこそ、同じ苦しみを味わっている子どもたちに
どうしても届けたい言葉がある。
「あなたを認めてくれる世界はほかにある。
決して一人ではないのだから」と。

 ◇昨年度の虐待相談2272件
 県によると、県内6か所のこども家庭センター(児童相談所)で
2011年度に受け付けた虐待相談件数は2272件で、
1991年度以降で最低だった92年度(50件)の
45倍以上になっている。
虐待を理由にセンターや児童養護施設、警察などに
一時保護された子どもは449人で、前年度比23人増となっている。

 県は今月、西宮、明石、姫路各市で医療関係者らを対象に
児童虐待の具体事例に対応するための研修会を開催。
12月8日には、ある児童養護施設に8年間密着した
ドキュメンタリー映画「隣(とな)る人」が
姫路市民会館で上映される。
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