[クロスロード]保育士訪問、母の悩み解消 富田林市


YOMIURI ONLINE
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 保育士が定期的に妊婦らの家庭を訪問し、
育児のコツをアドバイスする富田林市の
母親向け訪問サービスが始まった。
特定の保育園が母親をサポートする
マイ保育園制度の一環だが、
園での活動が中心となる保育士が、
約3000人の自宅に足を運ぶ「保育士訪問」の取り組みは、
全国でも珍しいという。
市は「子育ての不安解消には妊娠時から
きめ細かい支援が必要。制度を定着させたい」としている。
(岡田英也)

 今月上旬の昼下がり。金剛東保育園の女性保育士2人が、
妊娠10か月の高田和子さん(40)宅を訪れ、尋ねた。
「何か不安はありませんか」。
3人目の出産で、女児を授かることがわかっている高田さんが
「女の子は初めてなので……」と不安げな表情を見せると、
保育士の鵜川麻希さん(40)は、
「一般には女の子は、おとなしくて
育てやすいと言われていますよ」と笑顔で言葉をかけた。

 高田さんは落ち着いた表情に戻り、
「顔見知りの保育士さんがいれば、
悩みがあっても相談しやすい」。

 同制度は今年10月から、
市内の市立6保育園と民間7保育園の計13園が実施。
対象は、市内在住で母子健康手帳を持つ妊婦と、
3歳までの子どもを持つ母親計約3000人で、
10人の保育士が専従で、2人一組で市内を巡回している。

 活動は、〈1〉保育士が妊婦らの自宅を訪れ、
対面方式で子育ての悩みを聞き、アドバイスする
〈2〉保育園でミルクの与え方や、
オムツ交換など育児の知識を学んでもらう
〈3〉出産や育児の疑問に答える
電話相談を受け付ける――など。

 同制度を導入する市は府内でもあるが、
保育士が全ての自宅を訪れ、
無料で妊婦や母親の悩みを聞くケースは初めて。
対象者は多いが、市は「1日数件巡回すれば、
3か月に1回は全戸を訪問できる」とする。

 市は今年4月、市立の1保育園を民営化し、
市立保育園にいた保育士13人を他の園に振り分けることで、
保育士を確保したという。

 ただ、訪問しても制度を知らない家庭があり、
面会を断られるケースも。
訪問ではネグレクト(育児放棄)や、
虐待の異変を察知する目的もあり、
原則「アポなし」の訪問となるため、
何度足を運んでも不在の母親もいるという。

 市は今後、問題となる事案があれば、
警察や子ども家庭センターなどと連携を模索し、
広報誌などで市民への取り組みの周知も徹底する。

 中山徹・奈良女子大教授(保育制度論)は
「保育士の訪問は妊婦への精神的なサポートになる。
医学的な知識のある産婦人科医らとも連携すれば、
より充実した制度になるだろう」と提言している。
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