無認可保育施設で乳児死亡あす5年


YOMIURI ONLINE
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 天童市の無認可保育施設(閉園)で、
市内の沼沢悠妃(ゆうひ)ちゃん(当時生後4か月)が
死亡する事故が起きてから、2日で5年を迎える。
遺族は消えることのない悲しみを抱えながら、
「なぜ死んだのか」と真相解明を求めている。

 「悠妃ちゃんの具合が悪いから病院に連れて行く」。
2007年11月2日午後1時半頃、
保育施設から連絡を受けた母親の春香さん(30)と
祖母澄子さん(54)は、すぐに山形市の総合病院に向かった。
しかし病院には、園長や保育士らの姿はなかった。
看護師からは「治療中です」とだけ伝えられた。

 同日夕、悠妃ちゃんが亡くなった。
祖父の健さん(62)は「『なぜ』という
思いばかりが募った」と振り返る。

 健さんらは10年4月、悠妃ちゃんが死亡したのは
元園長らの注意義務違反によるものだったなどとして、
元園長らに損害賠償を求める訴訟を起こした。
健さんは「園の中で悠妃はなぜ死んでしまったのか。
真実が知りたい」と話す。

 毎年6月27日の悠妃ちゃんの誕生日には、
家族でバースデーケーキを食べる。
「亡くなってから1年間くらいは、
季節に合った服も買っていた。
着ることはできないのに……」。
言葉を詰まらせる澄子さんらの悲しみは、今も癒えない。

 健さんも「悠妃がなぜ、こんな目に
遭わなければいけなかったのか。
人を恨む気持ちばかり大きくなって、やりきれない」と声を震わせた。

 ◇睡眠中死亡事故14件中12件無認可で

 無認可保育施設は、待機児童の
受け皿になっていることなどから、
役割を増しているのが実情だ。
県子育て支援課によると、県内の無認可施設は5月現在、
146か所、児童数は3005人。
県内に24時間対応の認可保育所はないため、
働きながら子育てをする母親は、
無認可施設を利用するケースが多いという。

 保育士の人数など、厚生労働省が定めた条件を満たし、
国から手厚い補助を受ける認可施設に対して、
無認可施設は、県などから運営費の一部が補助されている。
保育環境の問題を指摘される施設も少なくない。

 厚労省によると、昨年1年間に保育施設で睡眠中、
園児が死亡した事故は全国で14件。
このうち12件は無認可施設で起きた。

 県や市町村は昨年度、年1回実施している
無認可施設の立ち入り検査で、
14施設に「保育従事者数を満たす」
「安全確保のため、乳児室と保育室を区分けする」
ことなどを求める文書指導を行っている。

 検査に携わった関係者は「経営が厳しいため、
厚労省の基準を満たすのに苦労しているところもある」
と述べ、安全面への影響を懸念している。

 ◇無認可施設の乳児死亡事故 

 07年11月2日、天童市の
無認可施設「みんなのベビーホーム」で、
保育中にうつぶせに寝かされていた悠妃ちゃんが死亡。
県警の捜査で「窒息死か乳幼児突然死症候群(SIDS)」
が死因とされ、適切な観察指導を怠ったなどとして、
施設の元園長ら3人が業務上過失致死容疑で
書類送検されたが、山形地検は不起訴(嫌疑不十分)とした。
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