じわり広がる2世帯住宅 きっかけは子供夫婦の厳しい懐

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 2世帯住宅が脚光を浴びている。
東日本大震災で流行語にもなった「きずな」が一因と思いきや、
実はそうした動機は一部に限られているという。
2世帯住宅が注目されているのは
共働き世帯の増加や所得の伸び悩みなど
子供夫婦が抱える“切実な現実”にある。

完全分離型は少数派

 嫁姑の煩わしい家族間の人間関係を避けるため、
玄関はもちろんのこと、台所や浴室も別々-。
2世帯住宅にこんな印象を抱く人は少なくない。

 しかし、いわゆる「完全分離型」の2世帯住宅は今では少数派だ。
最近の2世帯住宅は玄関や浴室、階段などを共有した
「部分共用型」が主流という。
「孫の面倒や家事を手伝ってほしい」と考える子世帯の意向をくみ、
親世帯と一緒に食事やコミュニケーションをとる部屋を
設けた間取りが増えている。

 こうした2世帯住宅の変化は、
子世帯の生活実態を反映したものだ。
長引く景気低迷で現役世代の所得は伸びず、
共働き世帯が増えてきたが、
「保育所の待機児童など核家族の生活では
難しい場面があることは確かだ」。
旭化成ホームズの広報担当者は、
2世帯住宅が注目される理由をこう説明する。

 同社は8月、親世帯と子世帯に加え、
単身の兄弟姉妹も暮らす「2.5世帯住宅」を発表。
非婚・晩婚化の世相をとらえたプランで、
単身の兄弟姉妹が食事と入浴以外、
自立して生活できる部屋を設けた。
これまでならば「小姑がいる家」と消極的にとらえがちだが、
世代を越え趣味などを楽しむ共有スペースもあり、
家族全員で孫の面倒を見るといった
良好な協力関係を築く提案がなされている。
同社では2世帯住宅の建築棟数が
平成22年で前年比23%増と大きく伸び、
今年4~9月も前年同月比約1割と増え続けている。

台所、居間を共有

 積水ハウスは、共有と分離をうまく使い分けた
2世帯住宅プラン「シェアウィズ」を平成20年に発売。
台所や居間を共有することで広さを確保しながら、
タイミングに気遣いが必要な浴室まわりは
洗濯機を2台備えた専用の脱衣所を作るなど、
共有・分離度合いの要望に沿って設計する。

 完全分離から部分共有へ-。
こうした移行は、金銭や育児などの面で
「親世帯を頼る子世帯と、
孫との暮らしに喜びを感じる親世帯の利点が一致した形」
(積水ハウス)だ。

 リクルート住まいカンパニーが
11月16日に発表した「2012年注文住宅動向・トレンド調査」
によると全国4021人のうち、
多世帯住宅を検討している人は22.9%。
その理由のトップは親の老後(51.5%)だが、
子供の面倒を見てもらえる(20%)、
生活費などの経済的なメリット(15.2%)、
自分単独で家を購入するのが困難(11.3%)など、
子世帯の生活援助につながる項目が上位10位に並んだ。
一方、震災後に家族のきずなを大切にしたいと答えた人は、
6.5%と回答項目の中で2番目に低かった。

身寄りがいる安心感

 こうした子世帯の気持ちは、
多世帯住宅にした後に感じた利点としてはっきりと表れている。

 1位の「いざというときに身寄りがいる安心感がある」(39.7%)に次いで、
(親世帯が)子供の遊び相手になってくれる(39.1%)、
住居費などの生活費が削減できる(35.9%)、
食事を用意してくれる(34.8%)などが2~5位に並び、
親世帯を頼りにする子世帯の実情が垣間みえる。

 しかも、平成22年度税制改正で
相続税の課税対象となる土地の評価額が、
同居を前提にした2世帯住宅か否かで変わることも、
2世帯住宅化を押し上げる要因になりつつある。
年間50兆円規模の遺産が生じるともいわれる
大相続時代の突入とともに、
2世帯住宅の注目は今後も高まりそうだ。
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