保育士「掘り起こせ」 再就職や転職の支援広がる


msn産経ニュース
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 共働き家庭が増える中、都市部を中心に
保育士不足が深刻化している。
こうした状況を受け、保育士として働いていない
有資格者を掘り起こしたり、資格取得や転職を
後押ししたりする動きが広がっている。
保育士の仕事は保護者へのきめ細かい対応が必要で、
社会経験を持つ人材が求められているという。

高まる需要

 東京都世田谷区の女性会社員(42)は来月から、
都内の企業内保育園で保育士として働き始める。
短大で保育士と幼稚園教諭の資格を取得。
卒業後は一般企業に就職したが、
「いつかは保育の仕事をしたいと考えていた」。

 10月中旬、人材サービス大手の
パソナグループ(東京都千代田区)主催の
保育士への復職・転職関連セミナーに参加。
その後、保育園の採用試験を受けて就職が決まった。

 「責任が重く決して楽ではないと思うが、やりがいがある仕事。
頑張っていきたい」と力強く話す。

 パソナグループでは子育て支援サービスを手掛ける
パソナフォスター(同)が中心となり、
保育士への復職や転職を後押しする事業に力を入れている。
冒頭の女性が参加したセミナーもその一つで、
昨年11月以降、4回開催した。

 同社の長畑久美子社長は
「都市部では保育園の新設が進んでおり、
各園の開園時間も延びる傾向にある。
このため、保育士への需要が高まっているが
十分に対応できていない」と、
保育士不足の実情を説明する。

 こうした状況の中で注目したのが、
保育士以外の仕事をしたり子育てに携わってきたりした人材。
長畑社長は「働く母親の大変さが分かり、
子育てに関する悩みにも体験に基づいた助言ができる。
保育士としての経験不足は十分挽回可能で、
大きな戦力として期待している」と話す。

 人材の掘り起こしを狙ったセミナーでは
保育園経営者らが事業概要を説明。
復職したり異業種から転職したりした
保育士らの経験談も聞くことができる。
30~50代の女性を中心に各回100人程度が参加、
採用にも結びついているという。

即戦力目指し

 国家資格の保育士資格を取得するには
大学や短大などの専門課程を修了するか、
都道府県が実施する試験に合格する必要がある。
通信制大学の星槎(せいさ)大(北海道芦別市)は今年4月、
試験合格を目指す社会人などを対象とした学校
「星槎保育士養成大学校」(東京都千代田区)を開校した。

 通学形式で週1回のペースで講義を受ける。
筆記試験対策と、より実践的な内容の
就職対策をそれぞれ約半年間かけて学ぶ。
保育園での実習も1週間程度行う。受講料は35万円。
春、秋年2回の開校で次回は来年3月3日スタート。
試験対策や就職対策だけ受講することも可能だ。

 運営事務局長の安積聰(あさか・さとし)さん
=保育支援事業などを手掛けるベスタネット(同)社長=は
「子供が成長して自分の時間ができた
40代の主婦など約10人が意欲的に学んでいる。
即戦力となる保育士育成を目指しており、
保育士不足解消の一助になれば」と話す。

 今後は関西など他エリアでの開校も
検討しているという。(竹岡伸晃)

慢性的な人材不足

 厚生労働省のまとめでは、
認可保育所(園)に入れない待機児童数は
平成24年4月1日時点で2万4825人(前年同期比731人減)。
景気悪化などを背景に共働き家庭が増えていることから
高水準で推移しており、都道府県などでは
保育所の定員増に力を入れている。
同省のまとめでは過去5年間で定員は
13万4924人増えた。

 一方、同省が民間企業に委託して昨年12月にまとめた
「保育士の再就職支援に関する報告書」によれば、
都道府県や政令指定都市、
中核市などの自治体の76.2%が保育士不足を感じていた。
各自治体でも保育士再就職へ向けた研修などを行っているが、
人材不足は慢性的な課題となっているという。
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